マツダ、中国長安汽車と「排出量プール」形成 EU罰金回避へ向けカーボンクレジットを共同活用へ

村山 大翔

村山 大翔

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10月27日、日本の自動車大手マツダは、中国の長安汽車(Chongqing Changan Automobile)との合弁会社を通じ、欧州連合(EU)の規制下でカーボンクレジットを共同管理する「排出量プール」を新たに結成したと、ロイター通信が報じたEU文書で明らかになった。

この取り組みは、電動化の遅れが指摘される既存自動車メーカーが直面するCO2排出罰金を回避する狙いがある。EUでは電気自動車(EV)比率が低いメーカーが、他社の排出枠を「プール(pool)」として共有し、カーボンクレジット購入により平均排出量を引き下げることが認められている。

EUの罰金総額は業界全体で最大150億ユーロ(約2兆7,500億円)に達するとされていたが、欧州委員会は自動車業界からの強い要望を受け、2025~2027年の平均排出量を基準にする緩和措置を今年3月に導入した。

今回のマツダと長安汽車の合弁会社によるプールは、2025年を対象期間とし、他の自動車メーカーも11月末まで参加可能とされる。

マツダはすでにテスラ(Tesla)、ステランティス(Stellantis)、フォード(Ford)などとともに、別の排出量プールに参加している。今回の長安との新たな枠組みを含め、2025年内に設立されたプールは計5件となった。

この動きは、EUの厳格なCO2規制下でカーボンクレジットを戦略的に活用する日本勢の新たな試みといえる。合弁を通じた国際的な排出権取引の枠組みは、今後の電動化移行期におけるコスト回避と環境対応の両立モデルとして注目される。

参考:https://www.reuters.com/sustainability/climate-energy/mazda-forms-eu-carbon-emissions-pool-with-changan-joint-venture-2025-10-27/