CO2で建材をつくる時代へ
クライメートスタートアップのPaebblは、世界初となる連続稼働型のCO2鉱物化デモプラントの稼働を開始しました。従来は小規模バッチ処理が主流だったCO2鉱物化技術を、24時間稼働可能な形で実用化した画期的なプロジェクトです。
CO2を「資源」として建材に固定、セメント産業の脱炭素を加速
Paebblの技術は、オリビンという天然鉱物を使い、大気中や排出源から回収したCO2を安定した鉱物に変換し、補強セメント材料(SCM)として建設用途に活用するものです。セメントは世界の温室効果ガス排出量の8%以上を占めており、Paebblの技術はこの分野の脱炭素に大きく貢献する可能性を持っています。
新たに始動したデモプラントは、オランダ・ロッテルダムに位置し、年間最大500トンのCO2を鉱物化可能。建設は18ヶ月で完了し、予定通りの予算で実現した点も業界内で注目されています。
Paebbl 共同CEOのAndreas Saariは、「気候負債を埋め合わせるためには、“炭素を閉じ込める”という発想を素材レベルで取り入れる必要がある。私たちは今、それを“量産可能”な技術に変えました」とコメントしています。
Paebblは本プラントを通じ、建材の“地産地消”モデルを推進し、コスト・物流・炭素排出の三重課題に挑みます。また、Schneider ElectricやSPIE、Vicomaなどとの連携により、エンジニアリングからスケールアップ戦略まで統合的に進行中です。
今後は本格商用プラントの建設に向けて、パートナー選定や立地調整を進行中であり、2028年の運用開始を目指しています。