50万トンのCO2除去を目指す ブラジルのBiomas、1200haの大西洋岸森林を再生へ 初の大規模プロジェクト「ムスヌンガ計画」

村山 大翔

村山 大翔

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CDRスタートアップのBiomasは、ブラジル・バイーア州において約1,200ヘクタールの劣化林を再生する「ムスヌンガプロジェクト」を開始した。総額約970万ドルの投資により、地域の製紙大手Veracelと連携し、200万本以上の在来樹種を植樹する計画だ。

再生場所は製紙用植林跡地、70種以上の在来植物を復元

本プロジェクトの舞台となるのは、以前ユーカリなどのパルプ生産に利用されていた用地。植栽前には土壌調査や地域住民・ステークホルダーとの対話が行われ、植樹後は森林健康と炭素吸収の進捗を継続的にモニタリングする。
Biomasによれば、40年間で約50万トンのCDRクレジット創出を見込んでおり、信頼性の高い自然由来のカーボンクレジットとして販売される予定だ。

支援企業と中長期ビジョン、アマゾンと大西洋岸林の200万haを再生

Biomasは2022年設立。ValeMarfriguzanoイタウ銀行サンタンデール・ブラジルラボバンクといった大手からの出資を受け、今後20年間で200万ヘクタールの森林再生を目指している。

「ムスヌンガ計画」は、同社にとって初の大規模ネイチャーベースCDR事業。バイーア州の森林に特有のアラサー、コパイバ、グアプルヴ、イペ・アマレロ、ジャカランダ・ダ・バイーア、ジャトバなど、70種以上の在来種を回復させる。

Biomasは「この森林の回復は、気温の安定、水資源の保全、生物多様性の促進、農業生産性の向上に寄与し、人・動植物に恩恵をもたらします。」と語る、

危機に瀕する大西洋岸林と気候回復の可能性

大西洋岸森林は、かつてブラジル人口の3分の2が居住する地域を覆っていたが、現在は原生林のわずか12%しか残存していない。この再生プロジェクトは、生態系回復とクレジット市場の融合を通じ、グローバルな気候回復のフロントラインとなることが期待されている。

参照:https://www.biomas.com/en/conhecimento/discover-the-many-benefits-of-ecosystem-restoration