米テキサス州は4月29日、炭素回収・貯留(CCS)に用いるClass VI井戸の規制権限獲得に向け、米環境保護庁(EPA)とテキサス鉄道委員会(RRC)が合意覚書を締結したと発表した。これは州による許認可体制への移行に向けた重要な一歩となる。
Class VI井戸は、産業活動などで回収されたCO2を地中深くに恒久的に封じ込めるための専用井戸であり、CCS戦略の中核をなすインフラである。今回のMOA締結は、Safe Drinking Water Act(安全飲料水法)に基づき、テキサス州が州レベルでの許認可を可能にする「プライマシー(規制権限の委譲)」取得のプロセスにおける公式ステップである。
EPAはRRCが他の地下注入プログラムを適切に運用してきた実績を評価し、「飲料水保護と掘削監視の両立が実証されている」とコメント。RRC側も、州内の気候技術投資の受け皿となるべく、許認可・監督体制の整備に意欲を見せている。
Class VI井戸の適切な管理には、地下の地質構造の長期的安定性やCO2の漏洩リスクへの備えが求められる。EPAによる最終承認は今後の検討段階にあるが、今回の覚書により、テキサス州は自州のCCS政策の主導権を大きく前進させた格好だ。
背景には、同州内で進行中の大規模DAC拠点「Stratos」(Occidental社らによる)など、炭素貯留需要の高まりがある。全米でCCS事業が加速する中、規制の迅速化と地域主導の柔軟性が企業誘致のカギを握っている。