サステナビリティコンサル会社のアジェンディ(Agendi)は10月15日、炭素除去(CDR)専門の検証機関アイソメトリック(Isometric)と提携し、初の「耐久型炭素除去ポートフォリオ(Durable Carbon Removal Portfolio)」を立ち上げたと発表した。複数の耐久型CDRプロジェクトをまとめて提供するもので、科学的検証を経た高品質クレジットを20,000ドル(約300万円)から購入できる仕組みとなる。
このポートフォリオには、直接空気回収(DAC)、岩石風化促進(ERW)、バイオ炭など、気候変動対策として国際的に認められた手法による除去クレジットが含まれる。すべてのクレジットはアイソメトリックやピューロアース(Puro.earth)によって独立検証され、信頼性と透明性を担保している。
アジェンディの担当者は、「当社の目標は、企業が自社のバリューチェーンを超えて信頼できる気候行動を取れるよう支援することだ。アイソメトリックとの協業で、科学的厳密性と調達支援の専門性を組み合わせ、真に実測可能な除去効果を保証する」と述べた。
今回のポートフォリオには3社の主要CDR開発者が参加している。ベルギー・ブリュッセルを拠点とするシロナ・テクノロジーズ(Sirona Technologies)は、DAC技術を用いた最速のパイロット展開企業で、炭素鉱物化のセラ(Cella)とケニアで「ジャカランダ(Jacaranda)」プロジェクトを推進中だ。
ブラジルのインプラネット(InPlanet)は、熱帯地域で再生型農業と岩石風化促進(ERW)を組み合わせたCDRプロジェクトを展開し、2025年1月に世界で初めてアイソメトリックによるERWクレジット認証を取得した。
さらに、インドとガーナで活動するカーボニアーズ(Carboneers)は、農家がバイオ炭を導入することで土壌改良とCO2除去を同時に実現し、クレジット販売による新たな収入源を創出している。同社は2028年までに年間100万トンのCO2固定を目指す。
耐久型炭素除去は、CO2を数世紀以上にわたって大気から恒久的に隔離する手法として、気候変動に対する「実効的インパクト」をもたらす。国際機関である気候変動に関する政府間パネル(IPCC)やSBTi、ISOも、これらの手法を信頼できるネットゼロ経路の中核要素と位置づけている。
参考:https://agendi.co/agendi-launches-inaugural-durable-carbon-removal-portfolio/