「牛のゲップ」抑制でカーボンクレジット JA鹿児島とLinkholaが国内初の実測型発行

村山 大翔

村山 大翔

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JA鹿児島県経済連と、カーボンクレジットの発行支援を行うLinkholaは、牛のゲップや排泄物から出る温室効果ガス(GHG)を減らす新しい取り組みを始めた。専用の補助飼料を使い、牛の体内で発生するメタンなどを抑えて、削減した分を「カーボンクレジット」として発行する仕組みだ。

7月3日には、肉用牛46頭分について、68トンのCO2相当削減カーボンクレジットを正式に発行した。畜産分野で「実際のデータ」に基づいて発行されたカーボンクレジットは、これが日本で初めてになるとのことだ。

鹿児島は全国有数の畜産県で、牛や豚、鶏から毎年1,777千トンものGHGが出ている。こうした排出量を減らすことは、地球温暖化対策の大きな課題だ。

今回のプロジェクトでは、JA鹿児島県経済連の農場で、牛に新しい補助飼料を与えた。IoT機器を使って実際にガスの量を測定し、どれだけ減らせたかを正確に算定した。これにより、68トンのCO2相当を削減したことが証明された。

従来は、全国平均のデータをもとに計算していたため、個別の農場でどれだけ努力しても反映されにくかった。しかし、今回のような「実測型」のカーボンクレジットは、その農場ごとの努力を正当に評価できる。

さらに、この取り組みには多くの副次効果がある。例えば、アンモニアの抑制による悪臭や水質汚染の軽減、家畜の健康向上、農場のデジタル化などだ。こうした多面的なメリットは、国際的なカーボンクレジット市場でも高く評価されている。

JA鹿児島県経済連とLinkholaは、今後この仕組みを豚や鶏にも広げ、全国の農場へ展開していく計画だ。さらに、省エネや再生可能エネルギーなど、農業全体でのカーボンクレジット化も目指している。

JA鹿児島県経済連の柚木弘文会長は「新しい畜産の形を広げたい」と語り、Linkholaの野村恭子代表は「鹿児島から全国、そして世界へ発信したい」と述べた。

参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000033.000068026.html