UCC上島珈琲株式会社は、大型水素焙煎機「HydroMaster」を富士工場に導入し、水素を熱源としたコーヒー焙煎の量産を開始した。
水素の炎で香るコーヒー
従来、コーヒー焙煎には天然ガスなどの化石燃料が使われてきたが、UCCはCO2を一切排出しない「水素」を熱源とすることに成功。環境負荷の少ない焙煎方法として注目されてきた水素熱源を、商業規模で実用化したのは世界初の快挙だ。
山梨県産のグリーン水素を使用し、熱源由来のCO2排出を実質ゼロに。年間最大6,000トンの製造能力を誇るこの新システムにより、UCCは“おいしい、しかも環境にいい”コーヒーの実現を目指す。
新たな味覚とサステナビリティの両立へ
水素焙煎は、単に環境にやさしいだけではない。
「HydroMaster」は天然ガスとの混焼にも対応できるハイブリッド設計を採用しており、焙煎時の温度制御がしやすく、香味の幅が広がるという副次効果も確認されている。
現在、味の違いに関する研究も進んでおり、今後は“水素焙煎ならではの味”がコーヒー選びの新たな価値基準になるかもしれない。
食品業界の脱炭素モデルへ
この挑戦は、国立研究開発法人NEDOの助成事業として官民連携で推進されたもの。カーボンニュートラルを掲げる食品産業のモデルケースとして、他業種からも注目が集まる。
2040年までのカーボンニュートラル達成を目指すUCCは、「コーヒーの力でより良い世界をつくる」ことをパーパスに掲げ、総事業費10億円のプロジェクトで水素焙煎をその象徴的取り組みとして位置付けている。
参照:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000218.000074056.html