炭素除去(CDR)認証プラットフォームの世界的企業ピューロアース(Puro.earth)は、新認証基盤「MyPuro 2.0」を正式に発表した。CDRプロジェクトの審査・監査・発行をデジタル化し、サプライヤーの業務効率と信頼性を両立させる狙いだ。
同社によれば、MyPuro 2.0はCDRプロジェクトの認証に必要な書類提出や手続を一元化し、段階的な操作ガイドにより、審査工程を大幅に簡素化した。新システムでは、ピューロアースと第三者監査機関間の監査共有が最適化され、監査書類の精度と可視性を高める機能も実装された。
プーロ・アース社長のヤン=ウィレム・ボーデ氏は、「科学的根拠に基づく高品質なカーボンクレジットの認証を、これまでになく効率的かつシームレスに行えるようにすることが目的だ」と述べた。同氏は続けて、「サプライヤーこそがCDR市場の推進力であり、MyPuro 2.0は彼らの成功を支える基盤である。厳格でありながら摩擦のない認証を目指す」と強調した。
今回の改訂版は、ピューロアースが導入を進めるデジタルMRV(dMRV)システムへの布石でもある。新アーキテクチャは技術企業アルコーブ(Alcove)と連携し、API接続や通知機能を備えることで、他システムとの統合性を向上させた。これにより、CO2除去証書(CORC)の発行サイクルを短縮し、購入企業への供給スピードが高まる見通しだ。
MyPuro 2.0は今後数カ月をかけて既存の約360のサプライヤーに段階的に移行される。既存ユーザーには追加費用は不要で、トレーニング資料などのサポートも提供される。
ピューロアースは、炭素を少なくとも100年間安定的に貯留するプロジェクトを対象に、厳格な「ピューロ・スタンダード」に基づく認証を行い、CO2除去証書(CORC)を発行している。これらはマイクロソフト、ショッピファイ、チューリッヒ保険などの企業によって購入され、残余排出の相殺やネットゼロ戦略に活用されている。
ナスダックが2021年に筆頭株主となって以降、ピューロアース・アースは市場標準の確立とCDRの拡大を主導しており、今回のMyPuro 2.0は「高頻度発行」「デジタル監査」「完全統合型CDR市場」への技術的基盤として位置づけられている。
参考:https://7518557.fs1.hubspotusercontent-na1.net/hubfs/7518557/MyPuro%202.0/MyPuro%202.0%20Release.pdf