新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と大崎クールジェン株式会社は8月1日、CO2を分離・回収できる次世代の火力発電設備「IGCC」の実証試験を始めた。広島県の実証施設で、発電出力を素早く柔軟に調整できるかを検証し、太陽光や風力のような不安定な再生可能エネルギーの導入拡大に備える。
今回の試験では、電力需要が大きく変動する時間帯や季節を想定し、出力を上げ下げしながら、各設備の反応や耐久性を調べる。NEDOは「CO2を減らしながら電力を安定供給できるカーボンニュートラルな調整電源の実現を目指す」としており、化石燃料の新しい使い方として注目される。
このIGCC技術は、石炭をガスに変えて効率よく発電する仕組みで、発電時に出るCO2を90%以上回収できる。過去には、燃料に50%までバイオマスを混ぜた運転にも成功しており、将来的にはCO2の排出をマイナスにする「ネガティブエミッション」も視野に入れている。
さらに、今回の試験で回収したCO2の一部は、隣接する「カーボンリサイクル実証研究拠点」に供給され、化学品や燃料への再利用に向けた研究にも役立てられる。
NEDOと大崎クールジェンは、今回の成果を基に商用化に向けた課題を洗い出し、2027年度までに本技術の社会実装を目指す。
参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000199.000135644.html