大分市に位置するコンビナート、脱炭素化と持続可能な成長を目指す新たな構想は、産学官が連携して推進する「『グリーン・コンビナートおおいた』推進会議」によって策定されました。会長を務める佐藤樹一郎知事のもと、大分大学の北野正剛学長や大分市の足立信也市長を含む様々な関係者が参加しています。
この構想は、水素やアンモニアなどの次世代エネルギーの導入、二酸化炭素(CO2)の回収・利用・貯留(CCUS)、そして脱炭素技術の実証・導入といった重要な役割をコンビナートに期待しています。特に、水素・アンモニア供給拠点としての地位を確立することが目標で、そのためにはインフラ整備や人材の育成が不可欠とされています。
大分県は九州地方において製造業が盛んな地域で、特に大分市のコンビナートは地域経済を支える重要な役割を担っています。しかし、その一方で、県の一人あたりのCO2排出量は全国で最も高いレベルにあります。このため、コンビナートの脱炭素化は、県の持続可能な発展にとって極めて重要な課題となっています。
試算によれば、2050年までに大分県内での水素需要は215万トンに達し、CO2排出削減効果は年間約1962万トンになると見込まれています。しかし、これだけではCO2排出削減率は53%にとどまり、完全な脱炭素化には更なる努力が必要です。そのためには、CCUS技術、カーボンクレジット、バイオマス活用など、他の方法も検討されています。
この構想の実現には、県内外の他のコンビナートとの連携も重要な要素となります。大分県がこの挑戦に成功すれば、日本の脱炭素化における重要なモデルケースとなることが期待されます。
【参照】
大分県.工業振興課.「グリーン・コンビナートおおいた」推進会議について.https://www.pref.oita.jp/soshiki/14200/greenkombi2023.html