磯焼け対策がカーボンクレジットに結実 横須賀市「Jブルークレジット」4.8トンを新規認証

村山 大翔

村山 大翔

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神奈川県横須賀市は、市内の長井沖周辺で実施した藻場保全活動により創出された二酸化炭素(CO2)吸収量について、4.8t-CO2が「Jブルークレジット」として正式に認証されたと発表した。同市は近年、藻場が消失する「磯焼け」対策を強化しており、活動エリアの拡大に伴いカーボンクレジット認証量も前年度比で2.4倍に急増している。

漁業協同組合と連携し「海の森」を再生

横須賀市は、地元の漁業協同組合と共同で、ウニの除去や海藻の着生基盤の整備といった藻場の保全・再生事業を推進してきた。今回の認証対象となったのは、長井沖周辺の約14,610平方メートルの海域である。

調査の結果、保全された藻場によるCO2吸収量は4.8トンと算出された。これは一般世帯の年間排出量約2世帯分に相当する。同市は23年度より本プロジェクトを開始しており、当初の認証量0.6トンから、翌年度は2.0トン、本年度は4.8トンと、着実に成果を拡大させている。

高まるブルーカーボンへの市場ニーズ

今回認証を付与したジャパンブルーエコノミー技術研究組合(JBE)は、国が認可する国内唯一のブルーカーボン認証機関である。ブルーカーボンは、陸上の森林に比べて炭素貯留密度が高い傾向にあり、生物多様性保全や漁業振興といったコベネフィットが非常に大きいことが特徴である。

国内のカーボンクレジット市場において、Jブルークレジットは極めて希少性が高く、昨今の落札価格は1トンあたり数万円を超える水準で取引されることもある。横須賀市は今後、詳細が固まり次第、認証された4.8トンのカーボンクレジットについて購入を希望する企業の公募を開始する方針である。

持続可能な海洋経営のモデルケースへ

横須賀市における一連の取り組みは、単なる環境保全に留まらず、カーボンクレジット売却益を次なる保全活動の原資に充てる「循環型モデル」を目指している。国内の沿岸地域が共通して抱える「磯焼け」という課題を、カーボンクレジットという金融手法を用いて解決する同市の試みは、地方自治体による気候変動対策の先行事例として、他地域への波及が期待される。

今回の横須賀市の事例は、小規模ながらも「着実なスケールアップ」に成功している点が重要だ。4.8トンという量は企業の排出量オフセットとしては限定的だが、地域の漁業支援に直結する「ストーリー性の高いカーボンクレジット」として、ESG投資を重視する日本企業からの引き合いは極めて強いと予測される。

今後は、カーボンクレジット創出コストの低減と、民間企業を巻き込んだボランティア活動の統合が、さらなる拡大の鍵となるだろう。

参考:https://www.city.yokosuka.kanagawa.jp/0830/nagekomi/20250115.html