ヤンマーとフェイガー、コンプライアンスカーボンクレジット創出へ 二国間クレジット制度(JCM)で計画申請

村山 大翔

村山 大翔

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ヤンマーホールディングス傘下のヤンマーアグリビジネスと現地子会社ヤンマーフィリピンズ、カーボンクレジット開発のフェイガーは13日、フィリピン・ルソン島で進める水稲メタン削減事業について、二国間クレジット制度(JCM)の事務局へ事業計画書(PDD)と初回モニタリング報告書を提出した。承認されれば、農業分野として世界初となる公式排出量取引用「コンプライアンスカーボンクレジット」の発行が視野に入る。

本事業は、フィリピンの水田にAWD(Alternate Wetting and Drying)手法を導入し、メタン発生を抑制する。ヤンマーグループの農機・ソリューションと、フェイガーが日本で培ったカーボンクレジット創出ノウハウを組み合わせ、フィリピン国立稲研究所(PhilRice)と共同研究を進める。

JCMでは、提出されたPDDとモニタリング報告書が技術的妥当性を満たすと判定され次第、クレジット発行が可能となる。ヤンマーとフェイガーは「世界初の農業コンプライアンスカーボンクレジットを通じ、食料安全保障と持続可能な農業の両立を図る」と強調した。

AWDは水位を周期的に下げて土壌に酸素を供給し、メタン生成菌の活動を抑える手法で、用水量も大幅に削減する。国立研究開発法人農研機構によれば、東南アジアの水稲でAWDを導入するとメタン排出を約30%削減できるとの報告がある。ポンプ燃料の節減が見込める点でも、水資源が限られる地域に有効だ。

今後は、日本・フィリピン両政府の審査を経て、早ければ2026年前半にもJCMクレジット発行が見込まれる。ヤンマーとフェイガーはプロジェクト終了後も技術指導とインセンティブ設計を継続し、周辺地域への水平展開を図る方針だ。

参考:https://www.mynewsdesk.com/yanmar/pressreleases/yanmar-and-faeger-submit-project-design-document-and-monitoring-report-aiming-to-launch-the-worlds-first-compliance-credits-in-the-agricultural-sector-3392068