ヤマハ発動機株式会社は10月7日、沖縄県石垣市および八重山森林組合と、西表石垣国立公園とその周辺地域の森林保全、ならびにカーボンニュートラルの推進に関する連携協定を締結した。3者は、石垣島の森林を対象にしたJ-クレジットの創出と販売を通じ、森林保護と地域経済の循環を両立させるモデルを構築する。
J-クレジット制度は、適切な森林管理によるCO2吸収量や再生可能エネルギー活用などによる排出削減量を「カーボンクレジット」として国が認証する仕組みである。創出されたカーボンクレジットは、カーボンオフセットを目的とする企業や自治体に販売でき、地域の新たな収益源となる。
今回の協定に基づき、八重山森林組合が石垣市所有林の管理を通じてカーボンクレジットを創出・販売する。ヤマハ発動機は、J-クレジット認証に必要な森林モニタリングを自社の森林計測技術で支援するほか、創出されたカーボンクレジットの一部を購入し、地域への資金循環を促進する。さらに、西表石垣国立公園を中心とした地域資源を活用し、電動モビリティなどを用いたアドベンチャーツーリズムの振興も図る。
ヤマハ発動機は、2050年のカーボンニュートラル達成を掲げる「ヤマハ発動機グループ環境計画2050」を進めている。今回の協定は、その重点分野である生物多様性保全とネイチャーポジティブの実践として位置づけられる。同社は「自然の恵みに支えられてきた企業として、技術力を通じ地域と共に環境再生に取り組む」と述べている。
協定のもとでヤマハ発動機が想定する取り組みは3点に整理されている。
- 無人ヘリコプターによる森林巡視・撮影とデータ活用による保全活動の高度化
- J-クレジット創出を通じた地域への資金循環と林業支援
- 電動モビリティを活用した循環型アドベンチャーツーリズムの推進
同社は今後、創出されたカーボンクレジットの販売を通じて地域林業の経済的基盤を強化し、石垣島全体でのカーボンニュートラル化を後押しする方針だ。
参考:https://global.yamaha-motor.com/jp/news/2025/1007/agreement.html