NTTビジネスソリューションズと地域創生Coデザイン研究所は6月25日、嬉野市が推進するゼロカーボンシティ構想において、J-クレジット制度を活用した市有林の保全・活用事業に本格着手したと発表した。市域の約半分を占める森林資源を活用し、温室効果ガス(GHG)の吸収によるカーボンクレジットを創出、都市部からの資金流入を促すことで、地域経済と環境保全の両立を図る。
同市は2023年2月、「2050年までにGHG排出実質ゼロ」を掲げたゼロカーボン宣言を行い、翌2025年3月には「地球温暖化対策実行計画」を策定。これを受けて、同年6月よりJ-クレジット制度を活用した「市有林J-クレジット創出・活用事業」を開始した。
同事業では、NTTビジネスソリューションズが地域課題のDX支援を担い、森林管理の見える化を通じて保全効果の定量化を支援。一方、地域創生Coデザイン研究所は、プロジェクトの登録・認証・流通までの全工程を担う。J-クレジット創出によって得られた資金を森林保全や地域の脱炭素事業に再投資し、経済循環を構築する狙いだ。
同市の森林は北部から南部にかけて広がり、水源涵養や生物多様性保全にも資する重要な地域資源。関係者は、都市部企業とのカーボンオフセット契約を促進することで、民間主導の脱炭素投資を地方に呼び込む効果も期待する。
地域創生Coデザイン研究所の木上秀則代表は「ICTを活用した地域主導の森づくりモデルは、全国の中山間地域にも応用可能」と述べた。今後は、林業人材の育成や新たな収益源としての森林経営モデルの提示にもつなげていく考えだ。
嬉野市は今後、企業・団体・金融機関との連携によってJ-クレジットの域外流通を促進し、地域からのGHG削減と資金循環の好循環モデルの構築をめざす。次回の進捗報告は2025年末までに予定されている。
参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000124.000085099.html