東京ガス株式会社と東京ガスエンジニアリングソリューションズ株式会社は、自然環境でのメタン濃度を簡単かつ正確に測れる新しい方法の実証研究を始めた。使うのは、東京ガスが開発したレーザー式メタン検知技術と、空気やガスの流れをシミュレーションする解析技術だ。
この技術は、メタン削減で得られるカーボンクレジットの量を正しく計算するために活用でき、クレジットの信頼性向上につながると期待される。国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)からは、水田でのメタン発生量の変化を測定できるかどうかの評価業務も受託した。
企業や自治体は、カーボンニュートラルを目指して自らの排出削減とあわせ、カーボンクレジットの活用を進めている。しかし、国際的なルールはまだ整備途上で、安心して使える信頼性の高いクレジットの需要が急増している。東京ガスは、新技術でメタン削減量を正確に測定することで、この課題に応える考えだ。
レーザー式メタン検知は、メタンを吸収する赤外線レーザー光を地面に当て、反射して戻ってきた光の吸収量から濃度を計測する。都市ガスの漏れ検査にも使われてきたが、今回はそのデータをシミュレーションで解析し、水田でのメタン拡散の様子を再現する。これにより、削減効果を定量的に評価できる。
この技術は、水田での間断灌漑(AWD)など、メタン削減を伴うクレジット創出プロジェクトや、企業が自社サプライチェーン内で排出削減を行う「カーボンインセット」施策などへの応用も視野に入れている。
東京ガスは、国際的な基準VerraやGold Standardに加え、自社独自の評価基準を設定し、第三者による検証も実施している。創立140周年を迎えた今年、経営ビジョン「Compass2030」に沿って、2050年カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みを加速させる方針だ。