東京ガスは2026年1月8日、法人向け太陽光PPAサービス「ヒナタオソーラー」において、建物内で自家消費される電力の環境価値をJクレジット化し、利用料金から差し引く新サービスを開始した。
複雑な手続きを同社が代行し、顧客の追加費用負担なしで経済的メリットを還元する仕組みを構築した。脱炭素化を目指す企業や自治体に対し、初期費用ゼロの太陽光導入に「クレジットによる料金低減」という新たな付加価値を提示する。
東京ガスは、太陽光発電の自家消費に伴い発生するものの、手続きの煩雑さや実務負担から活用されていなかった「埋没した環境価値」に着目した。本サービスでは、この価値を国が認証するJクレジットとして創出し、その収益をPPA(電力販売契約)料金の値引きに充てる。この独自の還元システムについては、すでに特許を出願済みだという。
Jクレジットは、国内の温対法や省エネ法に基づく報告のほか、RE100などの国際的なイニシアチブへの回答にも活用できるため、需要が急拡大している。東京ガスは、2024年12月のJクレジット創出に関する業務提携や、2025年9月に発表したガーナ共和国でのカーボンクレジット創出プロジェクトへの参画など、国内外でクレジットの調達・創出基盤を強化してきた。
同社はソリューション事業ブランドであるイグニチャー(IGNITURE)の下で、経済性と脱炭素の両立を掲げている。今回のサービス開始により、コスト面で太陽光設置を躊躇していた層の掘り起こしを狙う。今後はヒナタオソーラーを通じた導入事例を積み上げ、2050年のカーボンニュートラル社会実現への貢献を加速させる方針だ。
今回の東京ガスの取り組みは、カーボンクレジットを単なる「排出量のオフセット手段」から「エネルギーサービスの経済性を高めるインセンティブ」へと昇華させた点に大きな意義がある。
特に中小企業や自治体にとって、Jクレジットの申請手続きはハードルが高く、本来得られるはずの環境価値を放棄していた実態がある。
この「埋没価値の現金化」をPPAモデルに組み込んだことは、競合他社との差別化要因になるだけでなく、国内のJクレジット供給量を底上げする呼び水となるだろう。
今後は、太陽光だけでなく蓄電池やEVの放電価値など、多様な分散型エネルギー資源(DER)のクレジット化が加速すると予測される。


