栃木県は10月23日、県庁昭和館で「令和7(2025)年度とちぎゼロカーボン企業表彰」授与式を開催し、カーボンニュートラル実現に向けて顕著な成果を上げた県内5社を表彰した。同制度は、令和5(2023)年4月施行の「栃木県カーボンニュートラル実現条例」に基づくもので、地域中小企業の脱炭素化を推進し、再生可能エネルギー導入やカーボンクレジット創出の裾野拡大を目的としている。
本年度の受賞企業は、アイ・シイ・エス、医療法人社団公済会、東武バス日光、福富住宅、ラハイナ・コーポレーションの5社である。審査は有識者らによる審査会で行われ、貢献度、波及性、持続性、創意工夫、連携・協働の5項目で評価された。
アイ・シイ・エスは、冷却水ポンプのインバーター化や熱処理炉真空排気ポンプの間欠運転化を実施し、エネルギー効率を向上。高効率型エアコンへの更新や自家消費型太陽光発電設備の導入など、コスト効率の高い実践的な取組を積み重ねている。
東武バス日光は、地域物流企業と連携し、路線バスを活用した「客貨混載輸送」を開始。さらに、バイオディーゼル燃料を混合した軽油による運行を本格化させ、交通分野のカーボンオフセットを展開した。
医療法人社団公済会は、灯油式ボイラーから木質ペレット式への燃料転換を進め、排出削減分を地元スクールバスや路線バス運行のカーボンクレジットとしてオフセット。地域循環型の脱炭素モデルを確立した。
福富住宅は、パッシブデザイン設計による冷暖房負荷低減を図り、ZEH基準を上回る高断熱性能住宅を標準展開。住宅部門におけるエネルギー起源CO2削減を主導している。
ラハイナ・コーポレーションは、放置竹林の適正管理と間伐を実施し、伐採した竹を堆肥や土壌改良材として再利用するほか、竹炭や国産メンマとして製品化。地域バイオマス資源の循環利用を進めており、将来的には土壌炭素貯留(バイオ炭クレジット)への転用も期待されている。
表彰企業には、表彰状とともに県産木材を使用した楯が贈呈された。県環境森林部は「企業の自主的な努力が地域のカーボンニュートラル化を加速させ、地方発のカーボンクレジット市場形成につながる」と述べた。
本表彰は今回で3回目。県は今後、受賞企業の脱炭素手法をモデルケースとして広報し、地域企業への波及効果を高める考えだ。次回の募集は2026年度初頭に開始される見通しである。
参考:https://www.pref.tochigi.lg.jp/d02/carbonneutral/r7zerocarbon_hyoushoushiki.html