スズキ、インドで世界初「モーダルシフトのCO2削減」Verra登録 物流由来カーボンクレジット17万トン創出へ

村山 大翔

村山 大翔

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スズキのインド子会社であるマルチ・スズキ・インディア(以下、マルチ・スズキ)は2026年2月25日、同国グジャラート州ハンサルプール工場における鉄道輸送への転換(モーダルシフト)プロジェクトが、国際的なカーボンクレジット認証機関であるベラ(Verra)の「VCS(Verified Carbon Standard)プログラム」に登録されたと発表した。物流分野のモーダルシフトによるプロジェクト登録は世界初の事例となる。

今回の登録により、従来のトラック輸送から鉄道輸送へ切り替えることで削減される二酸化炭素(CO2)が、国際的なカーボンクレジットとして認証される道が開かれた。2023年度から2032年度までの10年間で、累計約17万トンの排出削減量が見込まれている。

排出削減量の算定には、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)のクリーン開発メカニズム(CDM)で確立された手法が採用される。第三者機関による厳格な検証を経て、ベラより正式にカーボンクレジットが発行される仕組みだ。

マルチ・スズキは2013年にインド企業として初めて四輪車貨物輸送事業者の認可を取得し、2014年度から鉄道輸送を開始した。2023年3月にはハンサルプール工場内に鉄道引込線を整備し、直結型の輸送体制を構築。2025年6月にはマネサール工場でも同様の施設を稼働させている。

同社の2025年暦年における鉄道輸送実績は、過去最高となる58万台を超え、累計輸送台数は280万台に達した。この大規模な輸送インフラの構築が、今回の世界初となるVCS登録の基盤となっている。

スズキは、インド政府が掲げるカーボンニュートラル目標の達成に向け、物流分野を含むサプライチェーン全体での環境負荷低減を加速させる方針だ。

世界的にサプライチェーン排出量の削減が急務となる中、モーダルシフトによるカーボンクレジット化は、インフラ整備に多額の投資を要する新興国での脱炭素化を促す強力なインセンティブとなる。物流網の整備が渋滞緩和という社会課題解決と、カーボンクレジット創出という経済価値を両立させる「スズキ・モデル」は、他国の製造業にとっても重要な指針となるだろう。

物流由来のカーボンクレジットは、森林保護や再エネに比べ「追加性」の証明が難しく、登録ハードルが高い。スズキの成功は、自社引込線という強固なインフラ投資とCDM手法の適用が鍵となった。

日本企業にとっても、アジア圏の自社サプライチェーンを「カーボンクレジット創出源」へと再定義する大きなチャンスを示唆している。

参考:https://www.suzuki.co.jp/release/d/2026/0225a/