国内初の「EV重量車J-クレジット」認証 Spatial Pleasureが伊予鉄・神姫・東急バスと連携 モビリティ業界の脱炭素を加速

村山 大翔

村山 大翔

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モビリティ脱炭素化の新たな節目となる取り組みが始まった。Spatial Pleasureは10月16日、伊予鉄バス、神姫バス、東急バスと協力し、EVバス運行によるCO2排出削減効果で、国内初のEV重量車J-クレジット認証を取得したと発表した。認証は一般財団法人日本海事協会(ClassNK)の検証を経て成立したもので、今後同社は「モビリティ・カーボンクレジット・グループ(MCCG)」を設立し、交通・物流分野のカーボンクレジット創出と活用を推進する。

今回のJ-クレジット認証は、EVバスの運行によるCO₂削減効果を定量的に評価したものである。背景には、J-クレジット制度の方法論「EN-S-012(電気自動車又はプラグインハイブリッド自動車の導入)」がver.4.2へ改定され、初めて重量車の燃費モードが適用対象となったことがある。これにより、これまで難しかった大型EV車両での排出削減効果の測定と認証が可能となった。

プロジェクトは、Spatial Pleasureが主体となり、伊予鉄バス、神姫バス、東急バスが導入したEV車両を対象に実施された。各社の運行データをもとに削減効果を算出し、申請から検証(MRV)までを一貫して行った。その結果、J-クレジット制度における「グループプロジェクト(プログラム型)」として正式に認証された。

Spatial Pleasureは今回の成果を基盤に、「モビリティ・カーボンクレジット・グループ(MCCG)」を設立する。MCCGでは、交通・物流分野の脱炭素化施策、EV導入、モーダルシフト、共同配送、バイオ燃料の利用、エコドライブなどを対象に、J-クレジットや二国間クレジット制度(JCM)による排出削減量の認証と活用を支援する。

代表取締役社長の鈴木綜真氏は、「MCCGを通じて、国内外の事業者が自らの削減努力をクレジット化し、脱炭素経営を持続可能にする仕組みを整える」と述べた。

同社は既に海外でのJCMプロジェクトも初期登録を完了しており、アジア地域を中心にグローバルなモビリティCDR市場の形成を視野に入れる。なお、MCCGはSpatial Pleasureが主体的に設立・運営するものであり、今回協力した各バス事業者の直接的な参画とは独立している。

EV重量車のJ-クレジット認証は、今後の交通・物流分野でのGX政策にも波及する可能性がある。国は2026年度にもGX-ETSの本格導入を予定しており、民間によるクレジット創出の裾野拡大が期待される。

参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000030.000047935.html