日タイ初のITMOs発行を記念 両政府がパリ協定6条推進へJCMフォーラム開催

村山 大翔

村山 大翔

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日本国環境省は2025年12月17日、タイ・バンコクにおいて、タイ天然資源環境省傘下のタイ温室効果ガス管理機構(TGO)と共同で、二国間クレジット制度(JCM)のビジネス参画を促す国際フォーラムを開催した。

JCMの下で初となるITMOs(国際的に転送される緩和成果)の発行を記念したもので、日タイの官民関係者約340名が参加。パリ協定第6条に基づく高精度なカーボンクレジット創出に向け、農業分野の間断灌漑(AWD)や炭素回収・利用(CCU)など最新技術の導入加速を確認した。

本フォーラムは、JCMを通じたパリ協定第6条の実施を具体的化し、タイにおける脱炭素プロジェクトの形成を加速させることを目的としている。冒頭、環境省の宇賀麻衣子市場メカニズム室長らが、日本の気候変動政策におけるJCMの役割と支援策を説明。

タイ側からは、国家決定貢献(NDC)達成に向けた第6条の活用計画や、JCMを組み込んだ新制度「プレミアムT-VER」への登録要件が提示された。

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ビジネスピッチセッションでは、日タイの企業8社がJCM適格性の高い脱炭素ソリューションを披露した。

農業分野では、フェイガーやGreen Carbonが、水田からのメタン排出を抑制する間断灌漑(AWD)技術を紹介。特にCPグループ傘下のチャロン・ポカパン・プロデュース(CPCRT)は、2026年までに10万ヘクタール(約1,000平方キロメートル)規模への拡大計画を表明した。

産業・建築分野では、大成建設が、工場排ガスから回収した炭素をコンクリートに再利用する炭素回収・利用(CCU)技術を提案。岩谷産業は、バイオエタノール製造過程で生じるCO2を回収・精製するバイオCO2プロジェクトの進展を報告した。エネルギー分野では、シャープが、タイで実施中の55メガワット(MW)の太陽光発電と40メガワット時(MWh)の蓄電池を組み合わせた大規模案件の成果を強調した。

フォーラム前日の12月16日には、在タイ日本国大使館主催のレセプションが開催され、JCM初のITMOs移転を祝うとともに、日タイの協力関係強化を再確認した。環境省は今後、デジタルMRV(計測・報告・検証)の活用などによりクレジット創出コストを低減し、タイの脱炭素化と日本の排出削減目標達成の両立を目指す方針だ。

今回のフォーラムで特筆すべきは、JCMクレジットが単なる「削減量の記録」から、パリ協定に基づき国際取引が可能なITMOsとして初めて結実した点である。

これによりクレジットの信頼性と市場価値が向上し、民間投資を呼び込む強力なインセンティブとなる。特にタイで急速に関心が高まっている農業系AWDや、大成建設が示した建築分野のCCUは、今後のJCMにおける「高付加価値クレジット」の主力となるだろう。

日本企業にとっては、技術供与だけでなく、デジタルMRVを組み合わせた「データ主導型のクレジット開発」で主導権を握る好機といえる。

参考:https://a6partnership.org/training-events/forum-on-advancing-article-6-implementation-through-business-engagement-and-jcm-project-matchmaking-in-thailand