兼松、名大発TOWINGに出資し農業GX推進へ  バイオ炭を軸に、国内外でカーボンインセット型サプライチェーン構築を目指す

村山 大翔

村山 大翔

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兼松株式会社は5月29日、名古屋大学発のスタートアップ TOWINGが実施する第三者割当増資を引き受け、株式を取得した。この出資により両社は連携を深め、持続可能な食料サプライチェーンの構築を目指す共同プロジェクトを国内外で展開していく。

TOWINGは、高機能バイオ炭「宙炭(そらたん)」の開発・販売を手がけ、カーボンクレジットの創出ビジネスを展開するベンチャー企業である。農研機構と共同開発した独自技術により、土壌の健全性を改善し、化学肥料使用の削減や作物の品質向上を実現するリジェネラティブ農業への貢献が期待されている。

兼松は2024年4月より「農業・食品GX」を中期経営計画の柱の一つとして掲げ、TOWINGとの連携を進めてきた。2024年7月には連携協定書を締結し、米国、ブラジル、東南アジアを含む各地で、「宙炭」を用いた農業実証プロジェクトを開始。これにより、作物の収穫量や品質、農地の炭素貯留量の変化、生物多様性保全の可能性などを分析している。

今後は「宙炭」を活用したカーボンインセット型のサプライチェーン構築を進め、温室効果ガスの排出削減を取引先と共に図っていく考えだ。

TOWINGの「宙炭」は中性に近く、一般的なアルカリ性のバイオ炭と異なり、土壌のpHを上げにくいため、作物の生育に適した性質を持つ。今後の農業GXを担うソリューションとして注目が集まる。

参考:https://www.kanematsu.co.jp/press/release/20250529_release_1