フルッタフルッタは11月6日、サステナブル農法を実践する生産者と環境配慮型原料を求める企業をつなぐオンラインプラットフォーム『SCOPE 3 Neo』を正式にローンチした。企業のScope3排出量削減を支援し、グリーン調達を促進することが目的だ。
登録第1号生産者には、ブラジル・アマゾンのトメアス総合農業協同組合(CAMTA)が参画。アグロフォレストリー栽培によるCO2吸収量が「削減量」として原料に紐づけられ、取引企業のScope3削減に直接貢献する仕組みを採用した。
Scope3削減を“特別ではなく当たり前に” 透明なデータ基盤で信頼性を担保
『SCOPE 3 Neo』は、企業に義務化が進むScope3排出量の可視化と削減を支援するプラットフォームで、ISO14067およびGHGプロトコルに準拠。公的データと学術的知見を基礎に、CO2削減効果を証明できるサステナブル原料のみを登録対象とする。
システム開発はOnplanetzが担当し、カーボンクレジットの算定および監査体制は、自然由来カーボンクレジット支援のsustainacraftが助言した。
原料取引でCO2削減 Scope3対応の“削減量付き”素材流通を実現
同プラットフォームでは、アグロフォレストリー農場で吸収されたCO2量を「削減量」として原料に紐づけ、企業がその原料を購入することでScope3削減を実現できる。さらに、生産者とメーカーのマッチング機能を備え、環境配慮型原料の販路拡大を支援する。
利用企業は、製品パッケージなどでCO2削減量を表示することが可能となり、ESG評価やブランディング強化にも寄与する。
Scope3排出の重要性と課題
Scope3は、原材料調達から物流、廃棄に至るまで自社外で発生する排出を指し、企業全体の70〜90%を占めるとされる。日本政府は2050年カーボンニュートラル目標のもと、Scope1,2,3の開示義務化を段階的に進めているが、データの分散や基準の不統一が課題となっている。
フルッタフルッタは、『SCOPE 3 Neo』を通じて、排出削減を「選択」ではなく「標準」とする新たなサプライチェーンモデルの構築を目指す。
アグロフォレストリーによる炭素吸収 森林再生と地域経済を両立
CAMTAが実践するアグロフォレストリーは、農作物と樹木を混植し、経済活動と同時に森林を再生させる農法だ。従来の単一栽培では失われた土壌肥沃度を回復しながらCO2を吸収する「生きたカーボンシンク」として注目されている。
同組合は1931年に日本人移民により設立され、アマゾンフルーツやアサイーの量産化を通じて地域発展にも寄与。フルッタフルッタは創立以来、同組合のアグロフォレストリー原料を輸入し、国内メーカーや外食産業へ供給してきた。
企業間連携で「ネットマイナス経済」へ
フルッタフルッタは、『SCOPE 3 Neo』を通じてサステナブル原料市場の拡大を図り、「ネットゼロ」を超える「ネットマイナス」の達成を見据える。長澤社長は「サステナブルソーシングが特別ではなく、当たり前になる社会をつくりたい」とコメントしている。
政府の開示義務化や国際基準整備が進む中、『SCOPE 3 Neo』は企業の脱炭素経営を後押しする新たなデジタル基盤として注目される。
参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000217.000024416.html