全国初、商工会議所がJ-クレジット創出へ 札幌商議所が「脱炭素アグリゲーション」開始

村山 大翔

村山 大翔

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経済産業省北海道経済産業局は2026年2月16日、札幌商工会議所(SCCI)が全国の商工会議所で初めてとなるJ-クレジット創出プロジェクトを立ち上げたと発表した。

同プロジェクトは、会員企業による省エネ・再エネ設備導入などの温室効果ガス削減量をまとめ、カーボンクレジットとして価値化するものだ。これに伴い、3月3日にJ-クレジットの活用と脱炭素経営を推進するセミナーおよび個別相談会が札幌市内で開催される。

J-クレジット制度は、省エネ設備への更新や森林管理によるCO2削減・吸収量を、国が「カーボンクレジット」として認証する仕組みである。従来、中小企業が単独でカーボンクレジットを創出するには、高い登録コストや複雑な検証手続きが障壁となっていた。

今回、札幌商工会議所が主導する「脱炭素アグリゲーションプロジェクト」は、商議所が「プロジェクト参加者(アグリゲーター)」として複数の削減活動を一本化する。これにより、個々の企業は最小限の事務負担で削減量を「価値」に変え、売却益を次なる省エネ投資に充てる循環を構築できる。

本セミナーのプログラムには、2026年度から国内で本格始動する「排出量取引制度(GXリーグ)」を見据えた中小企業の対応策も盛り込まれている。エスプールブルードットグリーンなどの専門家が登壇し、カーボンクレジット市場の動向と企業の可能性を解説する。

また、会場内には経済産業省や中小企業基盤整備機構北海道本部、さらにはアイリスオーヤマなどの省エネソリューション企業による個別相談ブースを設置。LED照明への切り替え支援や省エネ補助金の活用など、具体的な資金調達と技術導入の両面から中小企業を支援する体制を整える。

イベントは3月3日14時から、北海道経済センターで開催される。定員は80名で、参加費は無料。北海道内の中小企業を主な対象としているが、地域発のカーボンクレジット創出モデルとして全国の商工会議所からの注目も高い。

今後、地方自治体や金融機関と連携した「地域主導型クレジット」の普及は、日本のカーボンニュートラル目標達成に向けた重要な鍵となる。札幌商議所の取り組みが先行事例となり、他地域でのアグリゲーションプロジェクトの加速が期待される。

商工会議所がアグリゲーターとなる本モデルは、カーボンクレジット市場の「供給不足」を解消する画期的な一手だ。2026年の排出量取引本格化によりカーボンクレジット需要は急増しており、中小企業にとって省エネは「コスト」ではなく「直接的な収益源」へと変貌している。この潮流は、地方の資金循環を活性化させる新たな産業基盤となるだろう。

参考:https://www.hkd.meti.go.jp/hokni/20260216/index.htm