エレクトロニクス商社のRYODENは2026年2月27日、長崎県大村市における藻場再生プロジェクトにおいて、炭素除去(CDR)を裏付ける「Jブルークレジット」の認証手続きを主導し、同市初となるクレジット発行が承認されたと発表した。
認証量は0.4t-CO2と小規模ながら、企業版ふるさと納税を活用した持続可能な環境価値創出のモデルケースとして注目される。
今回のプロジェクトは、大村湾の閉鎖性海域における水質改善を目的としたものだ。技術提供を行うSanta Mineralの「水質浄化セラミック」を設置することで、富栄養化の原因となる窒素やリンを削減。同時に、ホンダワラ類などの大型海藻が繁茂しやすい環境を整備した。
この結果、海藻による二酸化炭素(CO2)の吸収・固定が進み、ジャパンブルーエコノミー技術研究組合(JBE)が認証する独自のカーボンクレジット「Jブルークレジット」の取得に至った。RYODENは「代表申請者」として、大村市、大村市漁業協同組合、技術提供企業との調整やデータ整理といった煩雑な申請実務を一手に引き受けた。
特筆すべきは、本事業の財政基盤に「企業版ふるさと納税」が活用されている点だ。企業が地方自治体に寄附を行い、その資金で環境保全事業を推進。創出されたクレジットの権利はすべて自治体(大村市)に帰属させることで、地域の環境保全活動を自立・持続させる資産として活用する仕組みを構築した。
現在、日本国内におけるJ-ブルークレジットの取引価格は、1トンあたり数万円から、プロジェクトの希少性によっては数万円を超えるケースも報告されている。今回の0.4トンという規模は実証段階の色合いが強いが、今後、全国の自治体で同様の「ブルーカーボン・モデル」が普及する際の先駆けとなる。
RYODENは、2,000社を超えるパートナーネットワークを持つ商社としての強みを活かし、埋もれている環境価値を定量化・可視化する役割を強化している。同社は、今回の認証取得で得た知見を、自社が取り扱う環境配慮型製品やソリューションの付加価値向上へと繋げる方針だ。
日本政府が掲げる2050年のカーボンニュートラル実現に向け、森林による「グリーンカーボン」のみならず、海洋生態系による「ブルーカーボン」への期待は極めて高い。特に四方を海に囲まれた日本において、小規模な取り組みを束ね、クレジット化する「実務のプロ」の存在は、市場拡大の鍵を握ることになる。
本件は、単なる地方貢献に留まらず、商社が「クレジット創出のコンサルティング」という新たな機能を獲得した好例である。中小企業や自治体にとって、クレジット申請の事務負担は最大の障壁だ。RYODENのような企業が実務を代行し、企業版ふるさと納税を組み合わせるスキームは、資金力や専門知識が不足する地域でも炭素除去ビジネスが成立することを証明しており、今後の横展開が期待される。
参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000075.000149829.html
