大阪府初の森林J-クレジット創出へ 河内長野市が住友林業ら4者と連携協定

村山 大翔

村山 大翔

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大阪府河内長野市は1月16日、森林由来のJ-クレジット創出に向け、クリエイション、住友林業、エヌ・ティ・ティ・ドコモビジネスの3社と連携協定を締結した。

同市内の約800ヘクタールの私有林を対象に、間伐などの森林整備を通じて二酸化炭素(CO2)の吸収量をクレジット化する。森林由来のJ-クレジット創出プロジェクトは大阪府内で初の事例となり、2026年度中のクレジット認証および発行を目指す。

河内長野市は市域の約7割を森林が占めるが、林業の担い手不足や管理コストの増大により、適切に管理されない人工林の増加が課題となっていた。放置された森林は土砂災害のリスクを高めるだけでなく、水源涵養機能の低下や生物多様性の悪化を招く要因となる。

今回の取り組みは、J-クレジット制度を活用して森林管理の資金を確保し、所有者にとって「負の遺産」となりつつあった森林を収益資産へと転換する仕組みを構築するものである。

協定に基づく役割分担として、クリエイションが実地の間伐および森林整備を遂行する。住友林業とエヌ・ティ・ティ・ドコモビジネスは、共同で運営する「森林価値創造プラットフォーム(森かち)」を通じてクレジットの登録、申請、販売支援を実施する。同プラットフォームの活用により、煩雑なクレジット化プロセスの効率化と、クレジットの信頼性を担保する透明性の確保を図る。

創出されたクレジットの販売収益の一部は河内長野市に寄附され、持続的な森林整備や次世代への森林環境教育(ESD)に再投資される計画だ。同市は2021年3月に「気候非常事態宣言」を発令しており、2050年までの二酸化炭素(CO2)排出量実質ゼロ達成に向けた中核的な施策として本プロジェクトを位置づけている。

今後の焦点は、発行される地域由来クレジットと脱炭素経営を推進する企業とのマッチングである。河内長野市は1月20日に近畿経済産業局が主催する「J-クレジット ネットワーキングDAY」に登壇し、地域資源の価値を認める購入希望企業への直接的な働きかけを強化する方針だ。

本プロジェクトは、都市近郊自治体が抱える「放置森林」という環境リスクを、カーボンクレジットという金融価値へ変換する戦略的な転換点である。

特に、住友林業の知見とNTTグループのIT基盤を統合したプラットフォームの活用は、クレジットの信頼性担保する上で大きな優位性を持つ。今後は、単なるクレジット創出に留まらず、地域材の利用拡大と組み合わせた多層的な価値提供が、ESG投資を加速させる企業の参画を促す鍵となるだろう。

参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000010.000157917.html