「CO2分離回収」と「海洋貯留」の基本設計に着手 日鉄エンジニアリングが首都圏CCSバリューチェーンの構築を加速

村山 大翔

村山 大翔

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日鉄エンジニアリングは、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が推進する「先進的炭素回収・貯留(CCS)事業」の一環として、首都圏CCS事業における基本設計業務(FEED)を受注した。同事業は、2030年度までのCO2貯留開始を目指しており、日本の産業界における大規模な炭素除去(CDR)とカーボンニュートラル達成に向けた重要な一歩となる。

同社は、日本製鉄および首都圏CCSのそれぞれから、CO2分離回収設備と海洋設備に関するFEED業務を受注した。この業務により、CO2排出源から分離・回収し、海洋下に安全に貯留するまでのCCSバリューチェーン全体の実装に向けた設計が具体化する。この開発が成功すれば、関連するカーボンクレジットの創出メカニズムや取引市場の活性化に大きく寄与することが期待される。

日鉄エンジニアリングは、自社が持つ省エネ型CO2分離回収技術「ESCAP®」や、海洋開発プロジェクトで培ったノウハウを統合し、陸上パイプライン、液化・貯蔵、海洋プラットフォームといったCCSに必要な主要設備をワンストップで提供する。特に、CO2分離回収設備については、製鉄所排ガス向けで120トンCO2/日、石炭火力発電所排ガス向けで143トンCO2/日の商業実績を持つ自社技術を適用し、熱消費量を汎用技術と比較して43%低減する高いエネルギー効率を実現している。

今回のFEED業務は、JOGMECが2024年度から新たに公募した「先進的CCS事業に係る設計作業等」として採択された重点支援事業であり、CCSコストの低減と地下貯留の不確実性排除を目的としている。日本製鉄からの受注は「CO2分離回収設備FEED業務」、首都圏CCSからの受注は「海洋設備FEED業務」に位置付けられ、首都圏の主要排出源から発生するCO2の恒久的な除去体制構築を担う。

出典:独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構ホームページ(https://www.jogmec.go.jp/news/release/news_10_00191.html

同社は、この受注を機に、CCSの社会実装に向けた取り組みをさらに強化し、「CO2を分離・回収し、貯留する」という大規模なCDR技術の確立を通じて、国内のカーボンニュートラル社会実現へ貢献していく方針だ。

参考:https://www.eng.nipponsteel.com/news/detail/20251113/