政府、ゼロエミ船建造に150億円の補助金支援 水素・アンモニア燃料活用 カーボンクレジット創出も見据える

村山 大翔

村山 大翔

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国土交通省と環境省は2026年2月27日、令和7年度補正予算による「ゼロエミッション船等の建造促進事業」の公募を開始した。

水素やアンモニア、電力を動力源とする次世代船舶の国内生産体制を早期に確立し、海運セクターにおける大幅なCO2排出削減を目指す。この取り組みは、将来的に海運由来の排出削減量をカーボンクレジットとして資産化する動きを後押しするものとして、業界内外から高い注目を集めている。

執行団体である一般財団法人日本船舶技術研究協会を通じて実施される本事業は、総額150億円の予算規模を誇る。初年度には10億円が投じられ、令和12年(2030年)3月までの長期的な支援を予定している。補助対象は、水素・アンモニアエンジンや燃料タンク、バッテリー供給システムなどの「関連舶用機器」の生産設備、およびそれらを船舶に搭載するための艤装プラットフォームの整備だ。

補助率は、中小企業等が2分の1以内、大企業が3分の1以内と設定されており、設備投資負担の大きい海事産業の脱炭素化を強力にバックアップする。海運業界は「削減困難(ハード・トゥ・アベート)セクター」とされ、燃料転換による直接的な排出削減は、ボランタリーカーボンクレジット市場における高品質な排出削減プロジェクトとしての潜在能力が極めて高い。

背景には、国際海事機関(IMO)による2050年頃までの温室効果ガス(GHG)排出ゼロ目標がある。日本政府は本事業を通じて、世界に先駆けてゼロエミッション船の供給網を構築し、国際的なカーボンクレジット取引における主導権を確保したい考えだ。

船舶の燃料転換は、単なる環境対策に留まらず、海運由来の「カーボンクレジット」という新たな環境価値の創出基盤となる。中小の舶用メーカーにとっても、本補助金を活用してゼロエミッション技術を確立することは、将来的なカーボンクレジット市場への参入や、サプライチェーン全体での脱炭素化を要求する荷主企業への強力なアピール材料になるだろう。

参考:https://pczes05.jstra.jp/concept/