三菱電機株式会社は9日、兵庫県尼崎市の先端技術総合研究所にて、台湾・工業技術研究院(ITRI)製のCO2回収装置を用いた排ガスからのCO2回収実証試験を開始した。実証は2027年9月まで継続され、同社が展開するCCU(Carbon dioxide Capture and Utilization)技術の社会実装に向けた基礎データを収集する。
当該装置は「固体吸着方式」を採用。ボイラーからの排ガスを接続し、CO2を固体吸着材に付着させた後、加熱によりCO2を脱離・回収する。従来のアミン水溶液を用いた「液吸収方式」に比べ、蒸発プロセスを回避できるため、回収時のエネルギー効率に優れるという。
三菱電機とITRIは2024年4月にサステナビリティ技術に関する研究協力の基本協定を締結。以降、CO2回収・利用技術の開発を共同で推進してきた。
同社は今回の実証で、空調・冷熱・産業システム領域で蓄積した「高度なシステム設計」「制御技術」「エネルギーマネジメント技術」を投入し、CCUシステム全体のエネルギー最適化にも挑む。将来的には、回収から燃料・化学品への利用までを一体で行うCCUシステムを構築し、早期の社会実装を目指す。
装置は既に同研究所内の蒸気発生ボイラーに接続済み。今後は各種運転条件下でCO2回収効率や消費エネルギーの定量評価を行い、最適制御手法の検証を進める。
また三菱電機は、この成果を「E&F(Energy & Facility)ソリューション」に統合し、工場・施設のCO2排出量削減にも展開。カーボンニュートラル実現に向け、「トレード・オン(Trade-On)」の旗印のもと、社会課題の解決と事業成長を両立する姿勢を強調している。
参考:https://www.mitsubishielectric.co.jp/ja/pr/2025/0609/?category=&year=