CO2吸収量の可視化でカーボンクレジット創出を支援 ミドリクが渋谷区「S-Startups」に選定

村山 大翔

村山 大翔

「CO2吸収量の可視化でカーボンクレジット創出を支援 ミドリクが渋谷区「S-Startups」に選定」のアイキャッチ画像

空間AI(Spatial AI)を活用して自然環境のデジタルツインを構築するミドリクNbS(以下、ミドリク)が、東京都渋谷区のスタートアップ公認制度「S-Startups」の第3期採択企業に選出された。

同社はドローンや地上レーザーを用いた実測データから樹木の3Dモデルを自動生成する技術を保有しており、都市緑化や森林によるCO2貯留量を精密に算定することで、カーボンクレジットおよびネイチャークレジットの創出におけるエビデンス提供の役割を担う。

今回の採択は、渋谷区のスタートアップ支援プロジェクト「渋谷国際都市共創機構(SII)」が運営する制度の一環だ。ミドリクは、これまで属人的で高コストだった緑地や森林の調査を、AIとロボティクスによって自動化・高度化することを目指している。特にカーボンクレジット市場において課題となっている測定・報告・検証(MRV)の信頼性向上に向け、実測データに基づく科学的な評価基盤を提供する点が、国内外の投資家や自治体から注目を集めている。

ミドリクのコア技術は、3Dガウシアン・スプラッティング(3DGS)などの最新技術を用い、現実の景観をデジタル空間上に忠実に再現する点にある。これにより、将来的な樹木の成長シミュレーションや、それによる暑熱緩和、雨水浸透といった環境価値を定量化できる。これらのデータは、LEEDやWELLといった国際的な環境認証の取得だけでなく、炭素吸収量を根拠としたクレジット発行に不可欠な基礎資料として活用される。

同社は既に、国土交通省の民間提案型モデリング事業や先導的グリーンインフラモデル形成支援事業を通じて、農地や湿地帯の無人測量技術の開発を進めてきた。代表取締役の関氏は「AIによる3D将来シミュレーションを通じ、環境価値を設計に反映する取り組みを重ねてきた。渋谷を起点に、自然と人が心地よく共存できる都市モデルを世界へ発信したい」と述べた。

今後は、カーボンクレジット創出支援コンサルティング企業や情報開示支援企業とのパートナーシップを強化し、施工後の継続的なモニタリングを通じたカーボンクレジットの質の担保に注力する。特に地域の過疎化で管理が困難となった放置林や耕作放棄地のデジタル管理を進めることで、維持管理コストの削減と環境価値の最大化を同時に実現する構えだ。

今回のミドリクの「S-Startups」採択は、カーボンクレジット市場が「推計」から「実測」のフェーズへ移行していることを象徴しています。これまでのNbS分野では、衛星データによる広域解析が主流でしたが、都市緑化や小規模な森林においては解像度が不足し、クレジットの信頼性が課題となっていました。

同社のSpatial AIによる3Dモデリングは、樹木一本単位の成長をモニタリングできるため、非常に精度の高いMRVを可能にします。これは、グリーンウォッシュ懸念から「質の高いクレジット」を求める購入者にとって、強力な購入動機となるでしょう。

今後は、渋谷という都市部での実装知見を、いかにして広大な地方の森林や海外の熱帯林保全プロジェクトへとスケールアップできるかが、同社の世界的成長の鍵を握ると予測されます。

参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000158208.html