「4.4億円」規模で二国間クレジット実現可能性調査を支援 経産省が令和8年度事業の公募を開始

村山 大翔

村山 大翔

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経済産業省は2026年2月4日、「令和8年度二国間クレジット取得等のためのインフラ整備調査事業(JCM実現可能性調査業務)」の委託先公募を開始した。

本事業は、パリ協定に基づく日本の2030年度温室効果ガス削減目標(NDC)達成に向け、二国間クレジット制度(JCM)を通じた累積1億t-CO2の排出削減・吸収量の確保を目的としている。予算規模は4.4億円を上限とし、日本企業の脱炭素技術の海外展開支援や、アジアにおけるカーボンクレジット市場の構築支援を包括的に実施する。

本事業の柱となるのは、日本企業によるJCM実現可能性調査の支援業務だ。

全体で15件程度、総額2.5億円規模のFS案件を公募・採択し、進捗管理や技術的助言を行う。対象となるのは、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)事業への発展や、民間資金を中心とする「民間JCM」としてのプロジェクト化が見込まれる案件である。

また、アジア地域におけるカーボンクレジットの国際的なハブ構築も加速させる。

2026年7月から9月頃には、環境省と共催で「アジアにおけるカーボンクレジットに関する国際会議」を開催する予定だ。アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)パートナー国の政府関係者を招聘し、パリ協定6条に基づくクレジットの可視化や市場構築に向けた具体的な議論を推進する。

さらに、新たに本格稼働する排出量取引制度(GX-ETS)との連動も視野に入れている。

民間企業がJCMに取り組む際の課題や相当調整のリスク、パートナー国に残されたクレジットの活用法などを調査し、民間資金の流入を阻む障壁の特定と解決を図る。

公募の締め切りは2026年2月25日12時までとなっており、2月9日にはオンラインでの公募説明会が開催される。

今回の公募は、単なる「調査事業」の継続ではない。

特筆すべきは、JCMを政府主導のプロジェクトから民間主導の炭素市場へと本格的に移行させようとする政府の意志だ。

背景には、国内のGX-ETSの進展がある。企業が国内の削減だけでは足りない分を、JCMクレジットで補完できる環境を整備することが急務となっている。また、2025年を目途にパートナー国を30カ国程度まで拡大する目標を掲げる中、AZECを通じたアジア一帯での「炭素市場のルール形成」で日本が主導権を握れるかが、今後の日本の産業競争力を左右するだろう。中小企業やスタートアップにとっても、FS支援(1件あたり平均1,600万円強)は海外進出の大きな足がかりになるはずだ。

参考:https://www.meti.go.jp/information/publicoffer/kobo/2026/k260204003.html