JTBのカーボンクレジット活用推進「農業由来J-クレジット」採用でCO2ゼロSTAY拡充

村山 大翔

村山 大翔

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株式会社JTBコミュニケーションデザイン(JCD)は、宿泊分の温室効果ガス(GHG)排出をオフセットするサービス「CO2ゼロSTAY®」で、稲作由来のJ-クレジットを使った新プランの取り扱いを開始した。第一弾として藤田観光の新宿ワシントンホテル本館・ANNEXが導入し、利用客は宿泊で排出するCO2をカーボンオフセットすると同時に水稲のメタン削減と生産者支援に貢献できる。

JCDはNTTコミュニケーションズ、蛍の里(新潟県上越市)と連携し、メタン発生をおよそ30%減らす「中干し期間7日以上延長」の方法論で創出されたカーボンクレジットを調達した。宿泊客には「蛍の里くびき米」(同方法論に基づくコシヒカリ)が提供され、食事を通じて削減活動の成果を体感できる。

CO2ゼロSTAYは2023年の開始以来、全国107施設で累計約13万泊が利用済みだ。JCDは「農業クレジットを組み込むことで、オフセットに地域循環型の付加価値を与える」と説明する。

東京証券取引所のカーボン・クレジット市場では2025年1月、農業分野の売買区分が新設され、水稲中干し延長クレジットの流通拡大が見込まれる。
農林水産省によれば、同方法論のプロジェクト登録は17件まで増加しており、農業者の新たな収入源として期待が高い。

メタンはCO2の約25倍の温室効果を持ち、日本のGHG削減目標達成には稲作由来排出の抑制が鍵となる。宿泊業と農業が連携した今回のモデルは、観光需要を活かしたカーボンクレジット創出の先行例となり得る。

JCDは今後、都市圏ホテルやリゾート施設への横展開を進め、カーボンクレジット購入量を2026年度までに現在比2倍へ引き上げる方針だ。年内には他の農業方法論(バイオ炭施用など)の採用可否も検討を始める。藤田観光は「70周年を迎える2025年度、全社でサステナビリティを強化する」としており、追加施設への導入を視野に入れる。

参考:https://www.jtbcom.co.jp/news/2025/1647.html