日本・タンザニアが「JCM初会合」 規則採択でプロジェクト始動へ

村山 大翔

村山 大翔

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日本とタンザニア連合共和国は9月16日、二国間クレジット制度(JCM)の第1回合同委員会をダルエスサラームで開催した。両国はパリ協定6条に基づくJCMの規則およびガイドラインを正式に採択し、タンザニア国内でのJCMプロジェクト実施が可能となった。今後、日本の企業や政府が再生可能エネルギーや森林保全などの分野で技術・資金を提供し、削減された温室効果ガス(GHG)の効果を両国で分配する仕組みが本格的に動き出す。

会合冒頭、タンザニア副大統領府のルヘメハ事務次官は「気候変動問題の解決は急務であり、JCMは再生可能エネルギーやクリーンクッキングの導入などを通じ、環境と社会経済の双方に利益をもたらす」と強調した。

一方、日本側共同議長を務めた在タンザニア日本大使館の上田祥一次席大使は「JCMで獲得したカーボンクレジットは日本の国別削減目標(NDC)達成に活用され、両国の脱炭素化と関係強化につながる」と述べた。

合同委員会は、JCMの最高意思決定機関として設置され、方法論の承認、プロジェクト登録、カーボンクレジット発行の通知などを担う。今回の会合では以下の成果が得られた。

  • 合同委員会規則の採択:運営手続きが正式に承認された。
  • 規則およびガイドラインの採択:パリ協定6条に準拠したプロジェクトサイクルやクレジット発行手続きが明文化された。
  • 事務局設置:タンザニア側は国立炭素モニタリングセンター、日本側はJCM指定実施機関(JCMA)が担当することとなった。

JCMを通じて発行されるカーボンクレジットは、日本およびタンザニアの排出削減目標達成に活用される。特にタンザニアは、豊富な森林資源や再生可能エネルギー潜在力を背景に、森林保全、バイオマス発電、再エネ普及など多様なプロジェクト展開が見込まれる。これにより、日本企業にとってはグリーン投資やカーボンクレジット取得の新たな機会が広がる。

合同委員会に合わせて開催された政策フォーラムでは、日本政府のJCM資金支援事業やマッチング・プラットフォーム「JCM Global Match」が紹介され、官民関係者による意見交換が行われた。翌日の啓発ワークショップには多くの民間企業や研究者が参加し、対象事業や技術支援に関して議論が交わされた。

今回の合意により、早ければ2026年にも具体的なプロジェクト登録とクレジット発行が始まる見通しである。次回合同委員会は2026年内の開催が予定されており、対象プロジェクトの登録申請が焦点となる見込みだ。

参考:https://www.env.go.jp/press/press_00877.html