JCMグローバルパートナーシップ第5回会合を開催 パリ協定6条に基づくカーボンクレジット発行加速へ

村山 大翔

村山 大翔

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環境省は2026年2月2日から6日にかけて、二国間クレジット制度(JCM)グローバルパートナーシップ第5回会合を開催した。

世界31カ国のパートナー国のうち24カ国の政府担当者が集結し、パリ協定6条に準拠したカーボンクレジット発行の実務や、炭素回収・貯留(CCS)を含む最新のプロジェクト形成について議論を深めた。日本政府は本会合を通じて、グローバルサウス諸国での脱炭素投資をさらに後押しする構えだ。

300件超のパイプライン、CCSや水素など新領域へ拡大

今回の会合では、JCMのプロジェクトパイプラインが300件を超える規模にまで成長していることが報告された。従来の再生可能エネルギーや省エネ分野に加え、近年ではCCS、CCUS、燃料転換、グリーン水素といった新興技術への広がりが顕著となっている。

特に注目を集めたのは、モルディブにおけるITMOs(国際的に移転される緩和成果)の発行実績だ。エネルギー分野の複数プロジェクトにおいて、パリ協定6条2項に基づいた具体的なクレジット発行プロセスが共有され、制度基盤の構築がITMOs発行を加速させる鍵であることが再確認された。

パリ協定6条との整合性と「保守的運用」の徹底

議論の焦点となったのは、各国の温室効果ガス削減目標(NDC)との整合性だ。タイからは、高効率機器の最新市場データを用いた「保守的なパラメーター設定」による方法論構築の事例が紹介された。これは、BAU(成り行き)排出量に対して過剰なクレジット発行を防ぎ、環境整合性を担保するための重要なステップとなる。

また、日本政府が主導する「パリ協定6条実施パートナーシップ(A6IP)」による専門家研修も併催された。ここでは、クレジットの二重計上を防ぐための「該当調整」や、国連への初期報告書作成といった実務的な演習が行われ、参加国の制度運用能力の底上げが図られた。

官民連携による案件形成の深化

会合期間中には、日本企業28社とパートナー国政府による個別面談(ビジネスマッチング)も実施された。アジア開発銀行(ADB)等の国際金融機関とも連携し、資金動員と脱炭素技術の導入を一体化させる仕組みが拡充されている。

日本政府は今後、これらの成果を踏まえ、パートナー国と共にパリ協定6条に沿った透明性の高いJCM運用を継続する。これにより、日本の優れた脱炭素技術の海外展開と、世界規模での排出削減への貢献を目指す。

JCMは「制度設計フェーズ」から、いよいよ「ITMOsの大量発行・移転フェーズ」へと移行した。

特にCCSや水素といった新領域が300件超のパイプラインに含まれたことは、技術力を持つ日本の中小・ベンチャー企業にとって、JCM補助金を活用した海外進出の大きな好機となる。

単なる削減貢献に留まらず、自社のカーボンニュートラル目標達成に向けた「戦略的カーボンクレジット確保」の手段として、JCMの重要性はさらに高まるだろう。

参考:https://www.env.go.jp/press/press_02718.html