カグオク株式会社は8月29日、国の認証制度「J-クレジット」を即時買い取る国内初のサービス「J-クレジット買取センター」を正式に開始したと発表した。半年間で累計約3万t-CO2分(約2億円)のクレジットを直接買取し、従来の仲介型モデルでは難しかった小口案件の資金化を実現した。
J-クレジットは、省エネ設備導入や再生可能エネルギー活用などによる温室効果ガス削減・吸収量を国がクレジット化する制度で、購入企業はカーボン・オフセットに活用できる。しかし国内市場では「価格の不透明さ」や「少量案件の取引困難」が課題とされてきた。
同社の新サービスは、クレジットの在庫を自己勘定で直接引き取る点が特徴で、参考買取価格をリアルタイム表示し、平均3営業日以内に正式査定を提示。契約は電子署名でオンライン完結でき、クレジット受領後1か月以内に全額を入金する。仲介手数料はゼロとし、取引の透明性と迅速性を両立させた。
代表取締役社長の増山大知氏は「参考価格の常時掲示、3営業日以内の見積、30日以内の入金を標準化することで市場の流動性を高めたい」と述べた。金融業界での流動性供給経験を生かし、創出企業や自治体へ安定的に資金を供給する仕組みづくりを進める考えを示した。
買取実績としては、総合商社による複数区分の一括売却や、ワークプレイスソリューション企業による累計1万t-CO2の取引、大手ECプラットフォームの30t-CO2売却、地方自治体の400t-CO2放出分などがある。
同社は今後、需要家向けの調達代行サービスを年内にも開始し、国内最安水準での提供を目指す。J-クレジット市場の透明性と流動性を高めることで、脱炭素経営を志向する企業や自治体にとって重要な資金調達インフラとなる可能性がある。
参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000015.000130721.html