道有林カーボンクレジットを3万トン長期購入、北ガスが「環境価値の地産地消」へ J-クレジットを活用し、カーボンオフセット都市ガスを提供

村山 大翔

村山 大翔

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北海道ガス(以下、北ガス)は、北海道との間で「道有林オフセット・クレジットの売買に関する連携協定」を締結し、2027年度までの3年間、毎年10,000トン分の道有林クレジットを長期購入する。この取引は、温室効果ガス(CO2)排出削減への貢献と、北海道内の森林整備促進を目的としており、北ガスは購入したクレジットをカーボンオフセット都市ガスとして域内企業に提供することで「環境価値の地産地消」と脱炭素化を後押しする。

北ガスと北海道は2025年11月19日、相互連携協定の締結に基づき、初年度購入分の道有林クレジット10,000トン-CO2の引き渡しと、購入証明書の贈呈式を実施した。このクレジットは、日本政府が認証するJ-クレジット制度に基づき、道有林のうち上川北部と網走西部の管理区にある約26,000ヘクタールの人工林を対象とした適切な森林管理によって創出されたものだ。航空レーザー技術を活用し、大規模なクレジット創出を達成した。

クレジット販売収益は森林整備へ、域内オフセットの促進

北ガスは、これまでもJ-クレジットを調達してきたが、本契約により北海道から安定的に大量の道有林クレジットを調達することが可能となる。購入したクレジットは、主に以下の二つの目的に活用される。

これにより、天然ガスの利用によって排出される温室効果ガスを相殺(オフセット)し、CO2排出量を実質ゼロとみなす「カーボン・オフセット」の取り組みを推進する。北海道側は、クレジット販売によって得た資金を、道有林の森林づくりに還元し、森林資源の循環利用を通じて公益的機能の維持・増進を図るとしている。

北ガスは、2050年カーボンニュートラルの実現を見据え、天然ガスの高度利用、省エネルギーの推進、再生可能エネルギーの導入などを進めている。今回のJ-クレジット購入は、これらの取り組みの一環として、地域全体の低・脱炭素化を推進する重要な施策となる。

道有林クレジットの購入は、J-クレジット制度を通じた地域固有の森林管理プロジェクトが、企業による温室効果ガス排出削減目標と、自治体による森林保全目標を結びつける好事例として注目される。今後、北ガスが提供するカーボン・オフセット都市ガスの具体的な販売実績や、他の道内企業への取り組みの波及効果が、次なる焦点となる。

参考:https://www.pref.hokkaido.lg.jp/fs/1/2/5/3/0/8/2/4/_/20251119%20%E8%B3%BC%E5%85%A5%E8%A8%BC%E6%98%8E%E6%9B%B8%E8%B4%88%E5%91%88(%E5%8C%97%E6%B5%B7%E9%81%93%E3%82%AC%E3%82%B9(%E6%A0%AA)%E6%A7%98).pdf

参考:https://www.hokkaido-gas.co.jp/news/20251119_doyurin