株式会社日立産機システムは8月26日、産業用空気圧縮機を最新型に更新することで生じるCO2削減量を「J-クレジット」として認証・売却し、その収益を顧客に還元する新サービスを発表した。2025年度に運用試験を開始し、2026年度から本格事業化する予定である。
同社の試算によると、出力37キロワットの空気圧縮機1台を最新モデル「OSP-37VA G1」に置き換え、年間4,000時間稼働した場合、従来機に比べて年間約9トンのCO2を削減できる。これをJ-クレジット制度に基づき「ベースライン方式」で認証し、売却益を顧客に分配する仕組みだ。日立のデジタルソリューション「FitLive」が設備稼働データを自動収集・分析し、削減量の算定からクレジット申請・売却までを一括代行する。
J-クレジット制度は、環境省・経済産業省・農林水産省が運営し、企業や自治体が省エネ設備導入や森林管理で得た削減量を取引可能とする仕組みである。産業分野は世界のCO2排出の約3分の1を占め(国際エネルギー機関「World Energy Outlook 2024」)、省エネ技術の導入とカーボンクレジット活用が急務となっている。
日立産機は「高効率設備とデジタル技術を組み合わせ、顧客設備から得られるデータを新たな価値に変えて提供する」と強調している。今回のスキームは、工場設備の更新を促進しつつ、企業にとって炭素削減の経済的インセンティブを明確にする「設備更新型クレジット」のモデルの参考となる事例だ。
参考:https://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2025/08/0826a.html