大成建設、阪神高速でCO2を固定するコンクリート 場所打ち施工を実施

村山 大翔

村山 大翔

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大成建設は5月22日、阪神高速14号松原線の中央分離帯にて、CO2を固定するカーボンリサイクル・コンクリート「T-eConcrete®/Carbon-Recycle」の国内初となる場所打ち施工を実施したと発表した。移動式プラントで現場製造し、通常施工法で構造物構築を可能にした。脱炭素化に資する技術の実証として、モニタリングも継続中である。

大成建設は、阪神高速道路株式会社との共同研究の一環として、大阪市内の阪神高速14号松原線(喜連瓜破〜三宅間)において、「T-eConcrete/Carbon-Recycle」を使用した中央分離帯の打設を行った。

このコンクリートは、セメントを全量高炉スラグで代替し、さらに大気中のCO2を吸収・固定した炭酸カルシウムを混合することで、材料に由来するCO2排出量をマイナスにする特性(カーボンネガティブ)を持つ。今回の施工では、CO2排出量を1m3あたり294kg-CO2相当分削減を実現した。これは普通コンクリートを使用した場合の274kg-CO2/m3であることから、-20kg-CO2/m3のカーボンネガティブを達成している。

本工事では、移動式プラントを用いて施工現場でのコンクリート製造を実施し、暑中の条件下でも適切な施工管理を行うことで、通常の場所打ちコンクリートと同様の品質・施工性を確保した。実際に得られた圧縮強度は30.8N/mm²と、設計基準(27N/mm²)を上回った。

施工後には、表層透気試験(トレント法)などを用いた品質評価も行われており、長期モニタリングおよび耐久性検証が進行中である。

この取り組みは建設リサイクルの模範事例として評価され、「令和6年度近畿建設リサイクル表彰」の再使用・再生利用部門で奨励賞を受賞した。

大成建設は今後も同コンクリートの実装を進め、公共インフラを含む広範な分野への応用を目指すことで、脱炭素社会の実現に寄与するとしている。

参考:https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2025/250522_10471.html