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「白バラ牛乳」、下水汚泥由来バイオ炭で日本初のJ-クレジット認証取得 環境ラベルと組み合わせ消費財ブランドの環境価値訴求へ

2026.05.25 読了 約4分
「白バラ牛乳」、下水汚泥由来バイオ炭で日本初のJ-クレジット認証取得 環境ラベルと組み合わせ消費財ブランドの環境価値訴求へ
出典:<a href="https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000023.000086276.html" target="_blank">大山乳業農業協同組合</a>

大山乳業農業協同組合(鳥取県東伯郡琴浦町)は、下水汚泥由来バイオ炭を農地に施用する取り組みで日本初となるJ-クレジット認証を取得した。三光株式会社、一般社団法人C2Xとの三社共同申請による。

令和6年度に鳥取県内の酪農家4戸・延べ117ヘクタールの農地で試験導入し、年間200トン-CO2超の貯留効果を達成。令和7年度には参加酪農家を拡大している。

同組合はあわせて、農林水産省が令和7年から販売実証を開始した畜産物の環境負荷低減「見える化」ラベル「みえるらべる」において、生乳カテゴリで星2つ(★2)を獲得した。国産飼料自給による輸送由来CO2削減(フードマイレージ低減)が高く評価された結果である。ラベルは令和8年5月下旬から白バラ牛乳1000ミリリットルパッケージへの表示が始まる。

下水汚泥という未利用バイオマスを資源化する方法論的意義

これまでJ-クレジット制度下で承認されてきたバイオ炭プロジェクトは、剪定枝・竹・もみ殻・木質チップなど植物系バイオマスを原料とするものが中心であった。下水汚泥を原料とするバイオ炭が認証対象となったのは今回が初めてである。

下水汚泥は従来、焼却・埋立処分の対象となるか、肥料化されてきたが、処理過程で発生する粒度の細かい炭化物は用途が限定されていた。今回認証された取り組みでは、この副産物を重金属を含まないバイオ炭に転換し、土壌中での長期貯留を実現した。土壌の保水性・通気性向上、肥料保持力の向上といったコベネフィットも確認されている。

国内のバイオ炭J-クレジット市場は、近年プロジェクト登録数が急増している方法論の一つであり、原料多様化は供給規模拡大の鍵となる。下水汚泥は全国の下水処理場から安定的に発生する未利用バイオマス資源であり、原料供給の地理的偏在を緩和する潜在力を持つ。

おが粉価格高騰がバイオ炭普及を後押しする構造

副次的な論点として注目されるのは、バイオ炭が酪農現場の堆肥化工程で「おが粉」の代替資材となる点である。

家畜排せつ物の堆肥化には水分調整材としておが粉が不可欠だが、近年バイオマス発電燃料としての需要急増により価格高騰と供給不足が深刻化している。バイオ炭をおが粉の代替として混合することで、堆肥化促進と環境負荷低減を同時に実現し、さらにJ-クレジット創出という収益機会を加える構造が成立する。

バイオ炭J-クレジット創出の経済性は、これまでは原料調達コストと炭化処理コストがクレジット価格を上回るケースも多く、補助金や副次便益の積み上げが事業性確保の鍵とされてきた。おが粉代替という新たな需要要因の出現は、バイオ炭サプライチェーンの経済性を構造的に変える可能性がある。

消費財ブランドが環境価値を商品ラベルで訴求する時代へ

もう一つの注目点は、J-クレジット創出という生産プロセス側の取り組みと、「みえるらべる」という商品ラベル表示を組み合わせ、B2C領域での環境価値訴求につなげる戦略である。

「みえるらべる」は地域の標準的生産方法との比較でGHG削減貢献率に応じた星の数(5パーセントで★1、10パーセントで★2、20パーセントで★3)を表示する制度で、農林水産省が令和7年から販売実証を開始している。鳥取県内の全酪農家が同組合の組合員という産地集約構造が、産地全体での環境対応を可能にしている。

ただし、J-クレジット創出量と「みえるらべる」評価対象となるGHG削減量との関係性整理は今後の論点として残る。J-クレジットは創出後に売却・移転されれば商品の環境価値主張の根拠とすることはできない一方、「みえるらべる」は生産プロセス全体のGHG削減実績を評価する制度であり、両者の二重計上を避けるための制度設計と運用上の透明性確保が求められる。

編集デスクの視点

下水汚泥バイオ炭の日本初認証は、バイオ炭J-クレジット市場の原料多様化局面における転換点として位置づけられる。剪定枝や木質バイオマスに依存してきた既存プロジェクト群に対し、自治体の下水処理インフラと連動した安定供給型サプライチェーンの可能性を示した点で、方法論の応用範囲拡大に資する事例である。

加えて、生産現場でのJ-クレジット創出と商品ラベルでの環境価値訴求を統合する戦略は、消費財メーカーが脱炭素対応をブランド価値に転換する具体モデルを提示している。食品・飲料セクターのスコープ3対応とB2Cマーケティングの接続が論点となるなか、産地集約型の協同組合という事業構造が制度活用の実効性を左右する変数として浮上している。

参考: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000023.000086276.html

カーボンクレジット.jp 編集部
カーボンクレジット.jp編集部|2023年末に当時日本初かつ唯一のカーボンクレジット専門情報メディアを立ち上げ。高度な専門性とわかりやすさを追求した翻訳力。