福岡市は、博多湾で創出された海洋由来の吸収源を活用する「博多湾ブルーカーボン・オフセット制度」に基づき、令和7年度分の「博多湾ブルーカーボン・クレジット」販売を開始した。販売総量は29.7トンのCO2相当で、価格は1トンあたり8,800円(税込)。
本制度は、福岡市が海草藻場などブルーカーボン生態系の再生・保全によって吸収したCO2を可視化し、カーボンクレジット化して企業や個人に販売する仕組みである。購入者は、購入量に応じて発行される「オフセット証明書」により、自らのCO2排出をカーボンオフセットすることができる。
販売単位は0.1〜10トンCO2で、上限は1件あたり10トン。販売量を超える申込があった場合は、福岡市が調整を行う。なお、同クレジットは地球温暖化対策推進法や省エネ法に基づく法的報告には使用できないが、企業の自主的な環境貢献やCSR活動の一環としての利用が想定されている。
申込には、法人・団体・個人のいずれもCO2排出削減の取組内容および排出量の算定資料の提出が必要となる。福岡市港湾空港局港湾計画部みなと環境政策課では、環境報告書や簡易算定シートの様式を公開し、申込を郵送・持参・メールで受け付けている。
博多湾では近年、アマモ場の再生や藻場の拡大によるブルーカーボン吸収の強化が進められており、同市はこれを「地域版カーボンクレジット」として制度化。地方自治体が独自に海洋吸収源を活用したクレジット販売を行う事例として注目されている。市は今後も、創出量の拡大や企業連携による民間資金の呼び込みを目指しており、地域循環型の脱炭素モデルとしての実証が期待される。
参考:https://www.city.fukuoka.lg.jp/kowan/kankyotaisaku/business/blue_carbon_credit_7.html