ネイチャーベースのカーボンクレジット創出事業を展開するGreen Carbonは、住友林業が運営する森林価値創造プラットフォーム「森かち」を活用し、森林・農業由来のJ-クレジットの創出・販売で連携を開始したと発表した。両社は、国内企業の脱炭素化需要の拡大に対応し、安定的な自然資本由来のカーボンクレジット供給を目指す。
住友林業は約600億円規模の森林ファンドを組成・運用し、社有林の管理ノウハウを基に森林由来J-クレジットを創出してきた。一方、Green Carbonは農業由来(水田の間断灌漑、バイオ炭、酪農など)で国内最大規模のJ-クレジット創出事業者であり、今回の提携で「森かち」を基盤とした森林由来のカーボンクレジットの販売を強化するほか、将来的に農業由来のカーボンクレジットの同プラットフォームでの取り扱いも検討する。
両社の発表によれば、日本では2026年度にGX-ETS(排出量取引制度)が本格稼働し、年間10万トン以上のCO2を排出する事業者に削減義務が課される。経済産業省の検討会では排出枠の最大10%をカーボンクレジットで代替可能とする案が提示されており、米調査会社は2030年までに約5,400万トン分(約1,500億円相当)の需要が生じると予測している。
需給逼迫を背景に、J-クレジット価格は上昇している。2025年8月時点で再生可能エネルギー由来は1トン当たり約6,000円、省エネ由来は約5,000円と、昨年度比2~3倍に高騰。Green Carbonの水田由来のカーボンクレジットとの価格差も縮まり、森林系・農業系クレジットの需要がともに拡大している。
Green Carbonの大北氏は「森と農地は本来つながっており、分断して考える必要はない。今回の連携を通じ、統合的なネイチャーベースクレジットを提供していく」と述べた。
参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000209.000117956.html