Green Carbon 「放牧酪農の脱炭素化」を推進 ファームエイジと連携し、カーボンクレジット創出モデル構築へ

村山 大翔

村山 大翔

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ネイチャーベースのカーボンクレジット創出・販売事業を手がけるGreen Carbonは10月28日、放牧酪農を支援するファームエイジと連携し、北海道を中心に約30万頭規模の放牧畜産農家を対象とした脱炭素・クレジット化の取り組みを開始した。放牧による温室効果ガス削減と炭素貯留の効果を可視化し、J-クレジット認証を通じて農家の新たな収益源とすることを目指す。

日本の酪農業は、飼料価格の高騰や高齢化を背景に離農が進む一方、環境配慮やアニマルウェルフェア(家畜福祉)の観点から「放牧型酪農」への関心が再び高まっている。農林水産省によると、乳用牛の約17%、肉用牛(繁殖用)の約14%が放牧によって飼育されている。放牧は、牧草による二酸化炭素(CO2)吸収と土壌炭素の固定(炭素貯留)を促すほか、燃料使用の削減により温室効果ガス排出を抑える利点がある。

Green Carbonは、農業分野向けカーボンクレジット方法論「AG-002」に基づき、酪農分野での脱炭素化支援を展開している。この方法論では、家畜排せつ物の強制発酵設備を導入し、メタン(CH4)や亜酸化窒素(N2O)の排出を削減、削減量をJ-クレジットとして認証する仕組みを採用する。強制発酵により従来半年を要した堆積発酵の工程を大幅に短縮できるが、設備投資負担が大きく、導入が進まないという課題がある。

このため同社は、設備導入費やクレジット登録・認証に関わるコストを包括した「プロジェクト出資型モデル」を構築。今回のファームエイジとの連携を通じて、放牧農家の負担を抑えながら脱炭素経営を実現する支援体制を整える。

大北氏は、「放牧による環境価値を定量化し、農家が持続的に収益を得られる仕組みを整える」と述べた。今後は北海道を中心に、中小規模酪農家の放牧導入と定着を促進する。

さらに、牧草地へのバイオ炭施用などの実証実験を進め、土壌炭素の蓄積や土壌改良効果を科学的に検証する計画だ。Green Carbonは「クレジット創出」「生産性向上」「環境保全」を同時に実現する三位一体モデルの構築を掲げている。

同社は今後、農家や自治体、流通事業者を含む地域ネットワークと連携し、環境配慮型地域経済圏の形成を目指す。脱炭素型酪農モデルを国内外に発信し、農業の新たなカーボンバリューチェーン確立に向けた取り組みを加速させる方針だ。

参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000220.000117956.html