フェイガーは9月24日、東北電力と連携し、農業由来カーボンクレジットの活用を開始したと発表した。対象は東北6県と新潟県で、生産者が創出したカーボンクレジットを地域企業が購入・利用することで、農業収益の安定化と脱炭素の両立を目指す。
今回の取り組みは、J-クレジット制度を通じて認証された農業由来の削減量を活用するものだ。具体的には、水稲栽培における「中干し期間の延長」によりメタン排出を約3割削減し、その削減分をクレジット化する。東北電力はこのカーボンクレジットを購入し、自社イベントや事業所の温室効果ガス(GHG)排出のカーボンオフセットに充てるとともに、地域内での販売・循環を進める。
フェイガーは、農業由来カーボンクレジットの生成から販売までを一貫して手がけており、今回の連携により「環境価値の地域内循環」を加速させる狙いがある。石崎社長は「地域支援型脱炭素の取り組みが東北・新潟全域に広がることを期待している」と述べた。
一方、東北電力の石山社長は「地域社会との共栄」を掲げており、農業の高齢化や収益性の低迷、異常気象といった課題に対し、経済性と環境保全性を両立する仕組みとして本取り組みを位置づけた。購入したカーボンクレジットはカーボンオフセット用途に加え、顧客ニーズに応じた販売も進め、農業・エネルギー・地域社会の三位一体による持続可能なモデルを目指す。
今回のスキームは、農業者にとって新たな収入源を確保する手段であると同時に、企業の脱炭素戦略を地域に根差した形で実現する事例となる。今後は他地域への展開や参加企業の拡大が焦点となる。
参考:https://www.tohoku-epco.co.jp/news/normal/1247592_2558.html
参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000062.000114514.html