京都府精華町のイーセップは11月5日、C種優先株の第三者割当増資による資金調達を実施し、総額4億3,000万円のファーストクローズを完了したと発表した。同社は資金を基にセラミック分離膜の量産と高効率メタノール合成プロセスの実用化を進め、カーボン・ニュートラル社会への貢献を強化する。
今回のラウンドには、マネーフォワードベンチャーパートナーズが運営するHIRAC FUND、Niterra水素の森ファンド(運営:グローバル・ブレイン)、神戸大学キャピタル、京都キャピタルパートナーズ、ミライドアが参加している。
同社は今回の資金を、主力製品であるナノセラミック分離膜の量産体制構築と、同技術を応用した「高効率メタノール合成プロセス」の事業化に充てる方針だ。メタノールはCO2を原料とした合成燃料として注目されており、イーセップの技術は排出削減とカーボンリサイクルの両面からカーボンクレジット創出につながる可能性がある。
代表取締役の澤村健一氏は、「イーセップはカーボンニュートラル実現に向けて、ナノセラミック分離膜の開発と分離膜プロセスの実用化を着実に進めている。今回の出資を通じて量産化を加速し、カーボンニュートラル社会の実現に邁進していく」とコメントした。
同社のセラミック分離膜は、高温・高圧環境下でも安定してガス分離を実現できる特性を持つ。水素製造、CO2回収、合成燃料製造など、多様なカーボンリサイクル技術との組み合わせが可能であり、日本発のCDR(炭素除去)関連技術として注目が高まっている。
イーセップは今後、2026年中を目標にパイロットスケールの実証を拡大し、国内外のエネルギー事業者との連携強化を進める見通しである。