自然エネルギー事業を展開するエンバイオ・ホールディングスは11月27日、農業ベンチャーのNeweZと共同で、農業残さを原料としたバイオ炭の製造および農地施用の実証実験を開始した。ブルーベリーの剪定(せんてい)枝を炭化させて土壌に埋設することで、農作物の収量向上を図ると同時に、大気中の二酸化炭素(CO2)を長期固定する「ネガティブエミッション」技術の実装を目指す。将来的なカーボンクレジット創出に向けたデータ蓄積が狙いだ。
本実証実験では、NeweZが運営する農園などで発生するブルーベリーなどの剪定枝を原料とする。現地に設置した分解型の簡易炭化器を用い、枝を段階的に投入して炭化させることでバイオ炭を製造する。生成されたバイオ炭は、再びブルーベリー栽培の土壌改良材として農地に還流させる計画だ。

エンバイオ・グループはこれまで、バイオマス発電所から排出される燃焼灰を活用したバイオ炭生成や水質改善の実証を進めてきた。今回の取り組みは、発電所由来の原料に加え、地域で発生する「農業残さ」を新たな炭素固定源として組み込む点に特徴がある。未利用資源を活用することで、資源循環と脱炭素を両立させるビジネスモデルの拡張性を検証する。
バイオ炭の農地施用は、土壌の保水性や通気性を高め、微生物を活性化させる農業的メリットに加え、気候変動対策としても注目されている。植物が吸収したCO2を炭化によって難分解性の炭素として固定し、土壌中に長期間貯留できるため、質の高い炭素除去(CDR)手法の一つとみなされるためだ。
同社は今回の実証を通じ、施用による農作物の生育改善効果を定量化するとともに、炭素固定量の測定データを蓄積する。将来的には、J-クレジットなどの炭素市場における認証取得に向けた体制を整備し、農業由来のカーボンクレジット創出を目指す方針だ。
エンバイオ・ホールディングスは「循環型社会および脱炭素社会の実現への貢献」を掲げており、地域資源を活用したクローズドループ(完全循環)型のバリューチェーン構築を目指す。
参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000014.000160772.html
