ダイハツ、「地域資源循環」型CO2排出削減「バイオブリケット」利用で鋳造工程の脱炭素化へ

村山 大翔

村山 大翔

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ダイハツメタルとダイハツ工業は、鋳造設備であるキュポラ溶解炉(キュポラ)で石炭由来のコークスの代替として利用する「バイオブリケット」の製造技術を共同開発し、ダイハツメタル出雲工場での使用を開始した。これは地域資源である廃菌床やバーク(樹皮)を利用したカーボンニュートラルなバイオマス燃料への転換を進めるもので、排出量削減を通じたカーボンクレジット創出の可能性を秘める取り組みとしても注目される。

地域資源を用いたエネルギー循環モデルを構築

今回の取り組みは、ダイハツメタルとダイハツが掲げる2035年までに工場の生産カーボンニュートラルを実現するための重要な一環だ。従来の石炭コークスを再生可能なバイオマス燃料に置き換えることで、直接的なCO2排出量削減を狙う。

ダイハツメタルは2023年3月に発足した「キュポラCN共創ワーキンググループ」に参加し、バイオマス燃料の研究開発と製造法確立、原料調達の調査を進めてきた。2024年からは、ワーキンググループの一員である株式会社コヤマの技術を活用し、地域から安定的に調達する廃菌床やバークを圧縮・成形した固形燃料バイオブリケットの製造工場を立ち上げた。

原料調達から燃料製造、キュポラでの活用までを地域内の自治体や企業と連携して一貫して行うエネルギー循環モデルを構築した点は、Scope3削減と地域活性化の両立を目指す脱炭素化プロジェクトの成功例として評価される。

2035年のコークス不使用達成でクレジット創出に弾み

ダイハツメタルは今後、キュポラにおけるバイオブリケットの置き換え率を段階的に引き上げ、2035年にはコークス不使用(置換率100%)の達成を目指す方針だ。

このコークスからの完全な燃料転換が実現すれば、鋳造工程におけるCO2排出量の大幅な削減が確実になる。これは、J-クレジット制度をはじめとするオフセット市場において、排出削減型クレジットの創出を可能にする。特に、地域内で未利用資源を循環させるという追加性の高いスキームは、クレジット市場での価値を高める要因となる。

ダイハツメタルとダイハツは、今後も地域社会との連携を深め、持続可能な地域社会づくりと環境にやさしい鋳造工場の実現を目指し、カーボンニュートラルへの取り組みを推進する。

参考:https://www.daihatsu.com/jp/news/2025/20251113-1.html