スウェーデンのDAC機器が国内販売スタート CO2回収で環境と農業を支援

村山 大翔

村山 大翔

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循環型農業を手がけるアクポニは9月24日、スウェーデンのテクノロジー企業ダイレクト・カーボン(Direct Carbon)と提携し、直接空気回収(DAC)機器「Wunderpumpe2(ウンダーパンプツー)」の販売を開始すると発表した。同機器は10月1日から幕張メッセで開催される「第15回農業WEEK」で国内初公開される。

アクポニはシンガポールのアリアンテック(Arianetech Pte Ltd)と共同で日本における独占販売権を取得した。WP-2は空気中から直接CO2を回収・濃縮し、温室や植物工場に供給することで、燃焼式や液体CO2に依存せず作物の収量増加と脱炭素化を両立できる点が特徴だ。

施設園芸ではCO2濃度を1,000〜1,200ppmに保つことで収量が最大40%増加することが知られている。しかし従来の供給方式は燃料費やガス輸送コストが重く、普及の妨げとなってきた。

アクポニによると、1,500平方メートルの温室にCO2を20kg/日施用するケースでは、DAC導入により1年目で従来方式を逆転し、5年間で約1,400万円のコスト削減効果が見込めるという。WP-2はCO2回収能力約2kg/日、重量31kgと小型で、省エネ設計を採用している。

「Wunderpumpe」シリーズは欧州やアジアで既に実証されており、コンパクトさと低コスト運用で高い評価を得ている。今後は農業だけでなく、飲料業界やデータセンター、公共施設など幅広い分野での活用が期待される。特にDAC由来のCO2削減量をカーボンクレジットとして活用する取り組みが注目されている。

アクポニは日本国内でイチゴ栽培を対象とした実証実験を予定しており、成果を踏まえてアクアポニックスや施設園芸向けの導入モデルを構築するとしている。

参考:https://aquaponics.co.jp/dac-wp2/