兵庫県淡路市の津名漁業協同組合佐野支所、稲畑ファインテック、およびスタートアップのBLUABLEの3者は15日、同地区のわかめ養殖プロジェクトにおいて、淡路島で初めてとなるJブルークレジットの認証を取得したと発表した。
本プロジェクトは、海藻による二酸化炭素(CO2)吸収量を価値化することで、気候変動や担い手不足に直面する地域漁業の持続可能性を高める狙いがある。
今回の認証は、ジャパンブルーエコノミー技術研究組合(JBE)が実施した。2022年5月1日から2025年4月30日までの3年間を対象とし、計12.4トンのCO2吸収量がカーボンクレジットとして認められた。創出されたカーボンクレジットは、JBEの公募を通じて企業等に販売され、その収益は地域漁業の活性化や藻場の保全活動へと還元される。
淡路島佐野地区では、かつて基幹漁業であった「いかなご漁」が気候変動に伴う海水温上昇などの影響で激減しており、漁業者の収入確保が喫緊の課題となっていた。また、漁業者の高齢化により伝統的なわかめ養殖の継続も危ぶまれている。
本プロジェクトは、こうした課題に対しカーボンクレジットという新たな収益源を組み込むことで、漁業モデルの再構築を図るものである。
本取り組みの大きな特徴は、役割分担の明確化にある。
海上での養殖作業は地元の津名漁業協同組合佐野支所が担い、種苗生産や販売網の提供を化学品商社の稲畑ファインテックが、カーボンクレジット化の申請実務や知見提供をブルーアブルが担当する。漁業者が単独で行うことが困難な「環境価値の可視化」を、商社やスタートアップが補完する体制を構築した。
今後は、カーボンクレジット販売による収益をさらなる養殖設備の改善や、2025年1月に開設した環境教育施設の運営に充てる方針だ。地域住民や観光客への環境啓発を通じて、海洋資源の重要性を発信していく。関係各所は、今回の認証取得を契機に「淡路島わかめ」のブランド価値向上と、脱炭素社会の実現に向けた先行事例としての展開を加速させる。
今回のニュースは、単なる「環境保全」の枠を超え、日本の沿岸漁業が抱える「構造的赤字」に対する現実的な解を示している点が重要である。
これまでブルーカーボンの創出は、自治体や大手企業主導のプロジェクトが中心であったが、本件のように「漁業者・商社・スタートアップ」が三位一体となり、実利(漁業収入)と環境価値(クレジット)を直結させた点は、他地域の漁協にとっても強力なロールモデルとなるだろう。
特に、商社がサプライチェーンの知見を活かして参画している点は、クレジットの信頼性と出口戦略(販売)を担保する上で大きなアドバンテージとなる。
今後、Jブルークレジットの市場価格が上昇すれば、本プロジェクトのような「分業型ブルーカーボン事業」は、全国の衰退する漁村を救うグリーンインフラへと進化する可能性がある。
参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000160914.html


