福岡でバイオ炭によるCO2除去を加速 セブンイレブンなどコーヒーかすの再資源化実証を開始

村山 大翔

村山 大翔

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セブンイレブン・ジャパンは2026年1月6日、福岡市や九州旅客鉄道(JR九州)らと共同で、コーヒーかすを原料としたバイオ炭製造による炭素除去(CDR)の実証事業を2025年12月より開始したと発表した。

環境省の「令和7年度地域の資源循環促進支援事業」に採択された本事業は、都市部で大量に排出されるコーヒー廃棄物をバイオ炭として農地に固定することで、地域完結型の脱炭素モデル構築を目指すものである。

本事業「Regenerative Coffee(リジェネラティブ・コーヒー) モデル In 福岡」には、バリュー・ウェイ(Value way)、エニキャリ、一般社団法人リジェネラティブ・コーヒー協会(Regenerative Coffee 協会)などの専門組織が参画している。

福岡市内のセブン‐イレブンやJR九州グループの店舗約10拠点から排出されるコーヒーかすを、エニキャリが提供する既存の配送網(動脈物流)を活用して効率的に回収し、市内の移動式炭化装置でバイオ炭へと加工する。

製造されたバイオ炭は、NPOの循環生活研究所が管理する農地に土壌改良材として散布され、大気中の炭素を長期間にわたり地中に貯留する。このプロセスは、大気中からCO2を直接取り除く炭素除去(CDR)技術の一環として位置づけられており、廃棄物削減と気候変動対策の両立を図る。また、バリュー・ウェイがサプライチェーン全体の温室効果ガス(GHG)排出量を算定・可視化し、事業の透明性を確保する。

福岡市は日本有数のコーヒー消費地であり、市全体で1日あたり約5.2トンのコーヒーかすが排出されているものの、その約80パーセント以上が活用されずに廃棄されている。

本実証では、これまで廃棄物収集専門の「静脈物流」に頼っていた回収プロセスを、商品の配送を担う「動脈物流」の空き便を活用する方式へと転換し、輸送効率の向上と輸送過程での排出量削減も検証する。

環境省は本事業に対し、資源循環の中核人材育成と施策実施に必要な費用の支援、および専門家による伴走支援を行う。実証の結果を踏まえ、セブンイレブンらはコーヒーかすを起点とした新たな資源循環モデルの確立を急ぐ方針である。

今回の実証事業の核心は、単なる「ゴミのリサイクル」ではなく、都市型廃棄物を「高品質な炭素貯留源(バイオ炭)」へと変換する点にある。

現在、J-クレジット制度においてもバイオ炭の農地施用は有力な吸収源プロジェクトとして認められており、セブンイレブンのような巨大小売チェーンが供給パートナーとなることで、カーボンクレジット創出の規模が一気に拡大する可能性がある。特に「動脈物流」の活用は、輸送コストと排出量を抑えつつ、小口の廃棄源を束ねる優れたモデルであり、他都市への展開も容易だろう。

今後は、このバイオ炭によって創出されるCDRクレジットをどのように収益化し、バリューチェーン全体で還元できるかが、持続可能な事業化への焦点となる。

参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000627.000155396.html