米ゼフィロ・メタン(Zefiro Methane Corp.)は9月3日、欧州電力大手エレクトリシテ・ド・フランス(Électricité de France、EDF)の国際卸売子会社であるEDFトレーディングに対し、孤児油井・ガス井の封鎖を通じて生成されたカーボンクレジットを納入したと発表した。これは同社が米国カーボンレジストリ(American Carbon Registry、ACR)の「孤児井戸手法(Orphan Well Methodology)」に基づき発行したもので、92,956トンのCO2換算削減量が認証されている。
今回の納入により、ゼフィロはEDFトレーディングとの事前販売契約を履行した。EDFトレーディングは自主・規制両市場で主要な取引主体であり、オフセット購入を通じてメタン削減型クレジットに対する強い支持を示した形だ。
EDFトレーディング環境商品部門責任者のトーマス・シュレーダー博士は契約発表時に「二酸化炭素がより広く知られる脅威である一方、地球温暖化の大きな要因はメタンだ。放置された油井やガス井の封鎖は極めて明快な解決策であり、高品質な炭素オフセットを提供できる」と述べていた。
このカーボンクレジットは「ACR959」として登録され、先月には大手商社マーカリア・エナジー・アメリカ(Mercuria Energy America)にも初回納入が行われている。マーカリアは4回分の納入のうち第1回分を完済済みで、EDFトレーディングも8月29日に全額を支払った。これによりゼフィロは、自社の油井封鎖事業やメタンモニタリングに加え、ボランタリー市場から初の収益を確定させた。
ゼフィロのチーフ・コマーシャル・オフィサー、ティナ・レイン氏は「ACR孤児井戸手法によるオフセットは市場参加者から高く評価されている。フォーチュン500企業への納入に成功したことで、全米に残る未封鎖井戸の浄化活動から、今後さらに大きな成果を得る基盤が整った」と強調した。
ゼフィロは米国とカナダでメタン排出抑制サービスを展開し、現場作業と市場化の仕組みを統合した事業モデルを構築している。同社は今後、環境修復プロジェクトの拡大とともに、ボランタリー市場での取引拡大を見込んでいる。