ザンビアで24万人が森林再生 生活改善を目指しカーボンクレジットの創出も

村山 大翔

村山 大翔

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ザンビアで、地域主導型のCO2削減プロジェクト「エコプレナーズ・ムーブメント ミオンボ森林再生」が始動した。2030年までに年間最大200万トンのCO2を削減する計画で、約24万人の農民が参加し、持続可能な生計と荒廃地の回復を両立させる取り組みとなる。気候資金を活用することで、農民の所得向上とカーボンクレジット市場への供給を目指す。

プロジェクトはコミュニティ・クライメート・ソリューションズ(Community Climate Solutions)が開発し、クライメート・インパクト・パートナーズ(Climate Impact Partners)が市場化を担う。農民は「エコプレナー」として研修と支援を受け、農地への植林、火災防止、持続可能な農業を通じてザンビアの重要な炭素吸収源であるミオンボ林を再生している。既に2万5,000人が参加し、年末までに倍増する見通しだ。

資金面では、農民はコミュニティ・クライメート・ソリューションズから初期資金を受け取り、カーボンクレジット収益の60%が農民や地域に還元される仕組みである。2030年までに3,000万本の在来種を植樹し、森林再生と食料生産の改善を同時に実現する計画だ。進捗は衛星画像と現地調査により監視され、火災削減量や土壌炭素の増加が検証される。デジタル決済は農民単位で追跡され、収益は公開・監査される予定だ。

コミュニティ・クライメート・ソリューションズのサミュエル・ガントナー最高経営責任者(CEO)は「すべての農民がエコプレナーとして環境変革を担い、持続可能な収入を築いている」と述べた。クライメート・インパクト・パートナーズのシェリ・ヒコックCEOも「炭素市場の拡大は、地域に根差した農民主導のプロジェクトから始まる」と強調した。

カーボンクレジットの発行は2027年に開始される予定で、40年間にわたり検証済みの除去量が供給される。プロジェクトはVerraの最新の植林方法論(VM0047)に基づき登録され、ボランタリーカーボンクレジット市場の「コア・カーボン・プリンシプル」認証を取得予定である。初回検証では高品質基準「ABACUS」ラベルの取得を目指している。

本事業はカーボンクレジットの発行だけでなく、地域社会と生態系の保護を100年以上にわたり続ける構造を持ち、サハラ以南アフリカで最も野心的なコミュニティ主導型森林再生事業の一つと位置づけられている。

参考:https://www.climateimpact.com/news-insights/news/farmer-led-carbon-reduction-project-to-transform-rural-livelihoods-for-240000-zambians/